キリンといえば長~い首が特徴のサバンナなどに生息している動物園でも子供たちに大人気の動物です。実はこのキリン、日本でもペットとして飼えるそうなんです。まさかペットとして飼えるなんて驚きですよね。
そして新たな発見として、キリンには実は4種類存在しているなんて話も。そんなキリンの新常識をなどをまとめてみましたので、ぜひ最後までご覧ください。
キリンという動物について
キリンとは現生する陸上動物の中で最も背の高い哺乳類動物です。アフリカ中部以南のサバンナや疎林などに生息しています。主な分布としては、アンゴラ・ウガンダ・エチオピア・ケニア・南アフリカ共和国・南スーダンなどに分布しており、
ゼネガル・ナイジェリア・ギニア・エリトリア・モーリタニアの国では絶滅したとされています。そして2016年には絶滅する恐れがあるとして、キリンを絶滅危惧種に指定されました。
キリンの現在の生息数は1985年の約15万5000頭から2015年には約9万7000頭までに減少し、この原因は生息地であるアフリカで行われている密猟や生息地域の縮小、そしてアフリカ諸国で行われている
内乱などが原因で年々と生息数が減少してしまっているようです。
キリンの模様の意味
体の色は橙褐色または赤褐色で茶色の網目模様が特徴的です。キリンの体にある網目模様は人間の指紋のように、同じ模様のものは存在しません。
体の模様によって9種類~12種類に分けられていますがそれらをよく見てもそれぞれわずかに異なっているのが分かります。これらの模様はサバンナの土地などでカモフラージュされるため敵に見つかりづらくなっているのです。
また、この模様はサバンナの暑い気候の中涼しさを保つために重要な役割を果たしていると考えられています。キリンの体にある網目模様の下には複雑な毛細血管と区だ腺があり、これらによって血液を流して放熱させ、体を冷やしているそうです。
大きさ、重さなどの特徴
キリンは角の先端まで高いもので約5m、メスだと4.5mほどあります。体重はオスが約800kg~1900kg、メスだと550kg~1000kgです。キリンの首には他の哺乳類と同じく7つの頚椎がありますがそれぞれが大型で長く、発達した筋肉と靭帯で長い首と頭を支えています。
頭には皮膚に覆われた角がオスメス共に2~5本生えているそうです。そしてキリンは前脚が長く頑丈に発達しており、ライオンなどの敵から攻撃された時に前脚のキックでライオンなどを追い払うことができるのです。
時にはライオンなどを殺してしまうほど前脚のキック力は凄く、大人しそうに見えて意外と危険な一面もあります。そして心臓から脳までの高低差が約2mもあるため心臓も大きく、血圧は哺乳類の中で最も高いといわれているそうです。
脳に送った大量の血液が重力で下へと下がると脚が鬱血してしまいますが、キリンは脚が鬱血しないように皮膚がとても硬くなっているのです。
水を飲む時など急に頭を下げると脳に血液が溜まり頭痛などを引き起こす危険性がありますが、キリンは首の頚椎の静脈には弁がついているため、血流が逆流することを防いでいます。
また、頭を上げる時に血が引いて気を失うのを防ぐために、頭を上げたときに瞬時に心拍数を上げて脳に血液を送り込んでいるのです。
寿命は野生と飼育下で大きく異なる
キリンの寿命は野生で約10年~15年、動物園などの飼育下では20年~25年ほどです。
日本の動物園でかつて飼育されていたキリンの中で
最も長く生きたのは埼玉県こども動物自然公園のタカコ(名前)で、なんと30年2ヶ月も生きたそうです。
舌が長い
キリンは首も脚も長い動物ですが、実は舌もとても長い生き物です。キリンの舌は45cmほどの長さがあり、長いもので50cm以上になるものもいます。
人とは違い舌の色が紫色をしていますがこれはメラニンがたくさん含まれているため、太陽などの日差しを受けても大丈夫なようになっているのです。
生態について
キリンはアフリカのサバンナや草などが生えた草原または疎林などに生息をしています。主に10頭~20頭程度の群れを作り生活をしていますが、2000年代以降は群れの数が平均6等以下とも言われています。
生息数の減少に伴い群れの数も減少しているようです。
レム睡眠が基本
キリンは通常は直立したまま休息や睡眠を行いますが、安全が確保されている状況であれば2時間~3時間程度、座って休むことがあります。また、深い眠りにつくのは1日に数分~数十分のみで基本は直立したままレム睡眠を行います。
しかし動物園などの敵がいない状況下であれば、1日平均4時間ほどの睡眠をとるということが判明しています。
実は足が早い
キリンは大人しくてあまり走らないイメージがあると思います。しかし意外と足が速く、短距離だと時速60キロ程度のスピードを出して走ります。
このスピードはサラブレッドの馬とほぼ同じです。しかしサラブレッドとは違いキリンの場合は長距離を走るのは難しく、長距離を走る場合だと時速16キロ程度まで落ちてしまうようです。
植物性の生き物
キリンは植物食で主にアカシア属シクンシ科などの木の葉や若葉、小枝などを食べていますが果実や草本を食べることもあります。アカシアなどの棘のある植物を食べる時は舌や唇でよりわけ、口内で粘着性の唾液で覆ったあとに溝のある口蓋で押しつぶして飲み込んでいます。
体が大きいため食べる量も多く、1日で30kg以上もの植物を食べます。そのため起きている時間のほとんどを食事の時間に費やしているのです。ただし水分は葉っぱなどから摂取するため数ヶ月水を飲まなくても平気なようです。
オス同士のケンカ
キリンはオス同士が背比べによって優劣を決定します。オス同士が首をぶつけ合って儀式的に行うことを「ネッキング」と呼び、特に若年個体のオスが行う事が多いようです。
ケンカに勝ったオスは行動圏内を巡回して発情したメスがいれば交尾を行うことができます。このケンカは長くても30分ほど続き、大きなケガになることは滅多にないそうです。
また、ケンカのあとにオス同士で互いを優しく撫でさすり、稀にオス同士で交尾をすることがあるようです。
キリンの種類
キリンはこれまで1つの種のみとされていましたが、ドイツなどの研究チームによると「それぞれ異なる4つの種に分かれていた」とする遺伝子解析の結果を発表しました。
研究チームが190頭ものキリンのDNAを使って総合的な遺伝子解析を行ったところ、「100~200万年の間に4種に分化し、異種間で交配された証拠は遺伝子上見当たらない」ことを発見しました。
発見された4種類のキリンは、
- ミナミキリン(Giraffa giraffa)
- マサイキリン(G. tippelskirchi)
- アミメキリン(G. reticulata)
- キタキリン(G. amelopardalis)
この4種類です。この4種類のキリンの間での遺伝的差異は、ホッキョクグマとヒグマほどの差があるとのことです。
なぜ今になって判明したのか
なぜキリンが4種類ということに今になって判明したのかにはいくつかの理由があり、そのうちの1つがキリンが科学的にあまり興味を持たれない動物だということが挙げられています。
シロサイについての科学論文が2万本もあるのに対し、キリンに関する科学論文は400本しかないそうです。ライオンなどの肉食動物に注目が集まりやすいため、植物食であるキリンに注目が集まりにくかったのでしょう。
この発見によりさらにキリンの研究が進み、今まで解明できていなかった事や新たな発見がまた見つかるかもしれませんね。
絶滅危惧種であるキリンの保護対策
キリンは現在絶滅危惧種に指定されています。特に、今回判明した4種のうちのアミメキリンとキタキリンは深刻な状況でもあります。アミメキリンは8700頭以下、そしてキタキリンについては5000頭以下までに減少してしまっています。
キタキリンの亜種であるコルドファンキリンはコンド民主共和国ではキリンの尾がステータスシンボルとなっているため、それを求める密猟者により貴重なコルドファンキリンが殺されてしまっているのが現状です。
これらの問題も含め、今回の発見がキリンの保護対策にとても重要であると期待されています。
ペットとしてのキリン
キリンをペットとして飼育する事は日本では禁止にはされていません。これはワシントン条約での国際取引規制対象に入っていないためです。そのため、特別な許可を取る事ができれば日本でも個人による飼育が可能になっています。
どうやってキリンを飼うの?
日本の法律では動物愛護法に定めがあり、キリンは特定動物とされています。
特定動物とは、「日本の法律である動物愛護管理法の規定に基づいて、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定められた動物種のこと」だそうです。
「特定動物の飼養または保管を行おうとするものは、あらかじめ都道府県知事の許可を受けていなければならない」
とされており、特定動物でも許可を得ることが出来れば飼育は可能であるという見解です。
飼育の許可を得る方法は?
例えば東京の場合です。東京都動物愛護相談センターが詳しく紹介してくれています。
ステップ1:【事前の相談・施設の設置】
特定動物を飼育するにあたり、まず最初に事前相談を必ず行ってください。そしてキリンを飼育する施設の設置が必要となります。
ステップ2:【飼養・保管許可申請( 動物の種類ごと )】
動物の種類ごとに施設基準に適合する飼養保管のための施設を設置して申請を行い、許可を受ける必要があります。
ステップ3:【施設の検査】
キリンを飼育するための施設の検査があります。この検査をクリアしなくてはなりません。
ステップ4:【飼養保管許可( 有効期間は5年間 )】
許可が下りた場合の飼養保管許可の有効期間は5年間となっています。
ステップ5:【飼養・保管開始( 標識の掲示・基準等の遵守 )】
外部から見えやすい場所に標識を掲示し、許可を受けた施設内での飼養が開始されます。法律で定める場合を除き、施設外へ出してはいけないなどの適正な飼養管理が求められます。
ステップ6:【識別措置の実施及び届出( 飼養を開始後30日以内 )】
飼養開始後30日以内にマイクロチップ等の識別措置を行わなければいけません。
これらの条件をクリアして始めてキリンを飼育することができます。
そもそもキリンって売っているの?
キリンを取り扱っている会社は存在します。もちろん、きちんと国の許可を得ている会社のため、その点は安心できます。しかしそう簡単には買うことはできません。会社が個人に対して売ってくれるかどうかまでは分かっていないためです。
ちなみに、キリンの価格は数百万~1,500万といわれています。また、免疫の問題上アフリカから直接輸入することは出来ません。そのため防疫体制が整った国を経由したり、国内の動物園から譲り受ける必要があります。
まとめ
キリンの模様は個体によってそれぞれ若干の違いがあるようなので、動物園などでキリンを見たときに模様の違いなんかにも注目してみてくださいね。キリンの新たな発見が今後のキリン保護対策へと役立つことを期待しています。