数あるカエルの種類の中でも、大変珍しいカエルたちを7種類ご紹介します。
珍しいカエルの種類
ケガエル
出典:爬虫類倶楽部
赤道付近の国に生息するケガエルは、10センチほどの、オリーブがかった褐色に、幅広く大きい頭部を持つカエルです。オスの脇腹から後ろ足にかけ、毛のようなものが生えていることからこの名前が付きました。
カエルには珍しく、ケガエルのオスはメスよりも大きく育ちます。また、ケガエルのオスとメスは、全く違う特徴を持っています。オスは水生ですが、メスは陸生。森林などを住処にしているメスは繁殖~産卵時期にのみ、オスのいる水場を訪れます。
マジョルカサンバガエル
出典:リミックス
マジョルカサンバガエルは、化石の状態で発見されたことから存在が知られました。その二年後に初めて生きた状態で再発見され、徐々に生態が分かってきたのです。
体長は4センチほどと小さく、なめらかな皮膚に黄色と黒の斑点模様を持っています。サンバガエルの仲間は毒を持つことが多いのですが、このマジョルカサンバガエルは毒を分泌しません。
繁殖方法はメスが産んだ卵を、オスが後ろ足に括り付けて、孵化するまで生活します。これは他のサンバガエルと同じです。生息地はマジョルカ島の渓谷と限定的で、捕まえることが非常に難しいカエルです。
アベコベガエル
出典:鳥羽水族館
南米に広く分布する、不思議な名前のアベコベガエル。緑色にオリーブグリーンの縞模様がついていて、小さな頭と短い口を持っています。
水生で、夜行性。水底にいる小さなカエルなどを捕食します。
ところでなぜアベコベなのかというと、親ガエルよりもオタマジャクシの方が大きいからなのです。7センチの大人の体長に対し、オタマジャクシはその3倍の20センチにもなります。
通常の「オタマジャクシがカエルになる」という考え方の範疇を超え、「カエルがオタマジャクシになるのでは」と考えられたために、アベコベという名前がつきました。
繁殖時には、水面から顔を出したオスがメスを呼ぶために鳴き声を上げます。水場の植物に産み付けられた泡状の卵が孵化すると、オタマジャクシになって、その後大きく成長します。
ホッホシュテッタームカシガエル
こちらも先ほどと負けず劣らず、奇妙な名前のカエルです。「ホッホシュテッター」とはムカシガエル科のカエルで、オーストラリアの博物学者の「ホッホシュテッター」氏にちなんで付けられました。
ざらざらした皮膚に褐色の背中、なめらかなお腹の皮膚はピンク色をしています。ニュージーランドに生息していて、湿った森林や渓流など、気温の低い湿地帯を好みます。
夜行性なので夜にエサを求めて動き回り、昼の間は岩の下に身を隠しています。同じムカシガエルの中でも、ホッホシュテッタームカシガエルは点滴に襲われそうになると、渓流の中などの水中に飛び込み、岩の下に隠れることで身を守るなど水中の生活に適しています。
鳥やムカデ、魚などの外敵に襲われた際には、毒を分泌することで身を守ることもあります。興味深いのはその繁殖方法で、通常カエルは卵から孵化するとオタマジャクシになるのが通例ですが、このホッホシュテッタームカシガエルは、カエルの状態で孵化するのです。
オタマジャクシという過程は、彼らにとって必要なかったのでしょうか。
メキシコジムグリガエル
出典:サウリナ守口店
とてもユニークな見た目をしたこちらのカエル。9センチくらいの体長で、大きな体に対して短く太い四肢をもち、小さな頭にはちょこんと小さく目がついています。
ちなみに、メキシコジムグリガエル科に属するのは、このカエルだけです。背中にまっすぐ伸びた線が目立つこともあって、他のカエルとの見分けがとてもつきやすいですね。
このカエルの面白い習性は、地面に穴を掘って地下に生息しているということ。後ろ足に、水かきに加えて穴を掘るためのコブのようなものをもっていて、穴掘りがしやすい構造になっています。
大雨が上がると、地上に出てきて、鳴き声を上げることからメキシコジムグリガエルの繁殖が始まります。繁殖の時期にしか地上に出て来ないため、めったに見かけることのできない珍しいカエルと言えます。
モモアカマダガスカルキンイロガエル
とても長い名前のモモアカマダガスカルキンイロガエルは、別名をモモアカアデガエルという、マダガスカルに生息するカエルです。身体は2.5センチほどと小さく、名前の通り金色の背中をしています。
後ろ足に赤い斑点があるのが特徴で、その可愛らしい見た目からペットとしてとても人気があります。昼に活動する陸生のカエルで、とても狭い範囲に生息しています。
オスは縄張り意識がとても強く、縄張りが侵されそうになると鳴き声を上げます。対してメスはあまり外に出て来ず、落ち葉の下や木の下に隠れていることが多いです。
セーシェルガエル
オスが5ミリほどメスよりも小さく、オス1.5センチ、メス2センチほどととても小さなカエルで、黄色と黒のツートーンの身体を持っています。体が小さいこと、熱帯雨林の落ち葉の中に住んでいることもあり、人に発見されることのほとんどない珍しいカエルです。
主な繁殖時期は雨季。メスの気を引くため、一日中オスは鳴き声を上げてメスを呼びます。他のカエルと違うところは、メスが産んだ10個ほどの少ない卵をつがいになって卵が孵化するまで守ります。
孵化した後は、メスがオタマジャクシを背中にのせて子ガエルまで育てるのです。そのため、オタマジャクシは水を知らずにカエルになるまで育ちます。