成長するごとに宿替えをすることから意図的に好みの貝殻を宿にさせることができる点と飼育が容易でコケや鑑賞魚の食べカスを綺麗に掃除してくれる点でマリンアクアリウムに欠かせない存在のヤドカリ。
多くの方は海岸で拾った貝殻の中にヤドカリが混ざっていて飼育方法が分からずに死なせてしまったことからヤドカリを飼育することに対して少なからず抵抗があるように思います。
しかし海水水槽に導入する生体の中では最も丈夫で飼育しやすいため海水を作成する知識さえ入れてしまえば簡単に長期管理ができてしまいます。
そこでこの記事では国内で流通する観賞用ヤドカリをご紹介していきたいと思います。
ペットで飼える観賞用ヤドカリの種類
オオゼブラヤドカリ
非常に小柄で小指の第一関節程度にしか成長しない本種は深い赤色と白いスポットが脚に入る美しいヤドカリです。
やや水深のある岩陰に生息しているため夏場の高水温には若干弱い面があります。
また夜行性のため照明を照らしている時間帯はライブロックや隠れ家から出てくることは少なく、臆病な性格から人影が見えると宿に隠れてしまうことがあります。
しっかりと鑑賞するには向いていませんが小柄なので超小型水槽のクリーナー生体としてお迎えすることができる点で人気があるのでしょう。
販売価格はやや高めで約6000円となっています。
スカーレットリーフハーミットクラブ
出典:妄想アクアリウム
ワインレッドが美しいヤドカリの一種でこちらも3cm前後と小柄で丈夫な種類のため小型水槽で終生飼育が可能です。
ヤドカリは基本的に雑食といわれていますが、本種は草食よりの食性なのでライブロックや底床に発生したコケや藻類などを食べてくれるクリーナー生体としてオススメです。
混泳水槽で飼育する場合は本種への給餌は必要ありませんが、単独飼育をする場合は植物性の配合飼料を与えてください。
シロサンゴヤドカリ
出典:屋久島ダイビング日記
真っ白な手脚に黒のワンポイントがアクセントとなり清涼感のあるヤドカリの一種です。
上記のヤドカリよりも一回り小さな本種はクリーナー生体として導入されるメジャーなヤドカリです。
小柄な割に宿替えを頻繁に行うことが多いためなるべく多く宿替え用の貝殻を入れていないと同種間で宿の取り合いをして脚やハサミが欠けてしまうことがあるので注意が必要です。
価格は非常に安価で一匹あたり400円前後となっています。
ルチルスハーミットクラブ
出典:30cm水槽の海水魚飼育
オレンジよりの赤い手脚が特徴的なインドネシアから輸入されることの多い小型のヤドカリです。
水質悪化に強く15℃程度の低水温や30℃を超える高水温に耐えることができる強靭な生命力からヤドカリ飼育の入門種といえるでしょう。
やや酸欠に弱いためエアレーションは欠かさずに行うようにしてください。
ホームセンターやペットショップで金魚飼育セットとして販売されている小型のプラスチック水槽と簡易的な投げ込み式フィルターで終生飼育が可能です。
餌に関しても何でもよく食べてくれますので販売されているお好みの人工飼料を与えると良いでしょう。
煮干しやほうれん草など人が食べるものも好んで食べますが水が汚れやすいので観賞魚やシュリンプ専用の人工飼料がおすすめです。
スベスベサンゴヤドカリ
出典:島の生きもの
面白い名前が印象的なスベスベサンゴヤドカリは右側のハサミが大きいヤドカリの中では珍しく左側のハサミが発達していることが特徴的です。
目の部分が水色とオレンジ色のバンド模様をしており、手脚は白と黒のコントラストが美しいやや大きめのヤドカリです。
本種も成長や貝殻の状態によって頻繁に宿替えをするので様々な大きさや形状の巻き貝を用意しておきましょう。摂食量がやや多くクリーナー生体として非常に優秀なため人気を集めています。
それほど人影に怯えることはなく馴れてくると観賞魚同様にしっかりと観察することができます。販売価格は500円前後です。
イモガイヨコバサミ
出典:島の生きもの
黒と白の縞模様が特徴的な本種はやや大柄なヤドカリの一種です。
太平洋からインド洋にかけて暖かい地域に広く分布しており、植物性・肉食性ともによく食べる雑食性の強いヤドカリです。
幼少期は頻繁に脱皮を行いますが、4~5cmを超えた当たりから1~2年に一度程度まで脱皮頻度が下がります。
脱皮をするごとに大きく成長していくため大きな個体ほど生きている年数が長いことになります。大型になりますが温厚な性格の持ち主なので魚や貝類との混泳は可能です。
ソメンヤドカリ
出典:島の生きもの
一見地味な色合いをしていますが黄色をした大きな瞳が可愛らしい大型のヤドカリです。
本種は貝殻にイソギンチャクを付けて身を守る習性があることから飼育下においても意図的にイソギンチャクと混泳させて宿に付ける姿を観察することができる面白いヤドカリとして人気を集めています。
ソメンヤドカリは他のヤドカリと同様に成長のたびに宿替えをするのですが、前の宿に付けたイソギンチャクまで引っ越しさせる姿は可愛らしいでしょう。
若干肉食性が強く生きている魚や貝類を捕食することがありますので混泳させる際は動きの速い魚や大型の貝類に限られます。