レッサーパンダの特徴、寿命、生態|ペットで飼えるの?

レッサーパンダといえば二本足で立つことで一躍有名になった風太くんですよね。あの風太くんがブームになってからもう10年以上が経ちました。

ふわふわの見た目に愛らしい表情でとても可愛らしいレッサーパンダが今後見られなくなる可能性も?絶滅危惧種に指定されているレッサーパンダの知られざる生態についてまとめましたので、ご覧ください。

 

レッサーパンダについて

レッサーパンダとは食肉目レッサーパンダ科レッサーパンダ属に分類される哺乳類動物です。レッサーパンダ科レッサーパンダ属という名の通り、この種はレッサーパンダのみとなっています。

名前の由来としては元々レッサーパンダが発見された時は「パンダ」と呼ばれていましたが、後にジャイアントパンダが発見された事により小さいを意味する「レッサー」が付き、レッサーパンダと呼ばれるようになったそうです。

 

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生息地、分布は?

レッサーパンダはインドや中国、ネパールなど南アジア~東南アジアにかけて分布しており、主に標高800~4800m程の高地の森林や竹林などを生息域としています。

木の上で生活をすることが多く、器用に木を上ることができるのが特徴です。ラオスでの報告例もあるようですが確実性が乏しいとして、まだ認められていません。そして中国の甘粛省・貴州省・青海省・陝西省の4つの省では残念ながら絶滅したと言われています。

 

 

大きさなど見た目の特徴

レッサーパンダの体長は約50cm~65cmで雄の方が少し大きいようです。体重は3kg~6kg、尻尾の長さは30cm~60cmでとても長いのが特徴的ですよね。

全身は柔らかく長い毛で覆われており背中は赤褐色、お腹や手足は黒いですが鼻・口・頬周りは白く、目の下~口元にかけて茶色の縦ラインが入っています。

 

別名クマネコとも呼ばれ、頭は丸く耳の形が三角形で少し大きめなのが分かります。そして特徴的な長い尻尾には淡褐色で何本もの輪のような模様があり、尻尾の先は黒くなっています。

この長い尻尾は木の上でバランスを取る役割を果たしていますが、地上を歩く時には尻尾を水平に持ち上げて真っ直ぐと伸ばすようにして歩いていますよ。四肢が短くもふもふな姿がまるでぬいぐるみのようだと、女性や子供にとても人気の高い動物です。

 

 

器用な手に注目

レッサーパンダは手が器用な動物でもあります。人と同じで指が5本ありますが、手首の骨が発達して指状の突起に変化したものがあります。

これを第6の指と呼び、この骨のおかげで木を上手に登ることや竹や笹などの細長いものでも器用に掴むことができるのです。

 

 

実は「視覚と聴覚と嗅覚」が悪い

レッサーパンダは手は器用ですが、視覚が良いというわけではありません。視覚・聴覚は鈍く、嗅覚もあまり鋭くないと言われています。

そのため敵から身を守る術として、手の一部が発達し樹上へ逃げることができるようになったようです。

 

 

生態

日本でも人気の高いレッサーパンダですが、実は絶滅危惧種に指定されています。生息数の減少の原因として毛皮やペット目的の密猟と生息地の減少が挙げられていますが、出生数が平均1~2頭と少ないことも、繁殖が難しい一因にもなっているようです。

 

 

1度の出産で産む数のは意外と少ない?

レッサーパンダは普段は単独で生活をしていますが、繁殖期や子育ての間は家族単位で生活をします。繁殖期は1月~3月中旬頃で、オス・メスともに複数と交尾を行います。

メスの妊娠期間は112日~158日で平均134日程度。一度の出産で産むのは1頭~4頭ですが2頭産む場合がほとんどのようです。生まれた子供は5ヶ月程で完全に離乳し、オス・メスともに18ヶ月~20ヶ月で性成熟するみたいですよ。

親子一緒の姿が見られるのは子育て中のみなので、動物園などで家族そろって姿を見ることができたらハッピーな気持ちになれますね。

 

 

マーキング行為

レッサーパンダは肛門の周辺に臭腺と呼ばれるものがあります。この臭腺から出る臭いを木や石などにこすりつけて縄張りを主張しています。また、マーキング以外にも興奮をしたりすると臭腺から強い臭いを出すことがあります。

 

 

実は薄明薄暮性って知ってた?

レッサーパンダは昼夜共に活動をします。昼間は木の上で眠っていることが多く、夜になると地上に降りてきて活動を始めますが、早朝や夕暮れ時になると特に活発に動き回ります。

動物園などでは午前中または夕方に餌を与える事が多いようですが、野生の場合は暗くなってから餌を食べているそうです。

 

 

餌、食べる物は?

レッサーパンダの主な食事はタケ・タケノコ・果実ですが、小型の哺乳類や鳥類の卵、昆虫などを食べることがあります。ですが、食べ物の約3分の2が竹や笹です。

 

 

寿命はどれぐらい?

レッサーパンダの寿命は野生化と飼育下で異なります。野生の場合は8年~10年といわれ、飼育されている場合は20年近く生きる場合もあるとか。

この10年の差はやはり大きいですね。野生での生存がどれほど厳しいものなのか伝わってきます。

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レッサーパンダの種類

レッサーパンダには、「ネパールレッサーパンダ」と「シセンレッサーパンダ」の2亜種がいるのをご存知ですか?この2亜種を独立種とする説もありますが、一方では分子系統学的解析では亜種間で遺伝的差異はないとも言われているそうです。

 

ネパールレッサーパンダ

出典:レッサーパンダのいるところ

インド北東部・ネパール・ブータンなどで見かけるレッサーパンダです。シセンレッサーパンダよりも顔の赤みが薄く少し白っぽいのが特徴です。このネパールレッサーパンダを日本で唯一見ることが出来るのは、熱川バナナワニ園だけのようです。

 

 

シセンレッサーパンダ

出典:上野動物図鑑

中国南部・ミャンマー北部などで見かけるレッサーパンダです。ネパールレッサーパンダよりも大きく体の色が濃いのが特徴です。日本の動物園にいるレッサーパンダのほとんどが、このシセンレッサーパンダのようです。

 

 

日本におけるレッサーパンダブームについて

覚えている方も多いかもしれませんが、2005年に千葉市動物公園で飼育されているオスの風太くんが後ろ足2本で直立すると大々的にマスコミに取り上げられ、一躍時の人気者になりましたね。

千葉市動物公園のインタビューでは、「当初地方紙のみの記事であったはずが、いきなり全国的に取り上げられたため過熱ぶりに困惑気味である」と、そう語っています。

 

 

ブームの影に見えるバッシング

その過熱ぶりに一部ではバッシングもありました。その内容としては、無理やり芸を仕込んでいるのではないかという誤解に基づくものが多く、商用目的でレッサーパンダを使用することがレッサーパンダへの過激な負担をかけるのではないかと旭日山動物園や世界自然保護基金などから懸念が表明されていました。

元々レッサーパンダは周囲の様子をうかがう時に直立することがあります。しかしそれを知らない一部のマスコミやお客さんが珍しい行為だと大きく騒ぎ立てたため、このような大ブームを引き起こす原因となったのです。

 

 

風太くんその後が気になる

ブームの火付け役となった風太くんは2017年現在も千葉市動物公園で元気に暮らしています。現在の年齢は13歳で人間でいうともう80歳を超えているおじいちゃんだそうです。

子供が8匹、孫やひ孫まで多数いるそうです。今でもたまに二本足で立つことがあるそうで、その姿は健在のようです。

 

 

ペットとしてのレッサーパンダについて

単刀直入に言うと、レッサーパンダをペットとして飼育することは出来ません。これはワシントン条約でレッサーパンダが保護されているため、
科学研究目的以外でレッサーパンダを取引することができないためです。

 

ワシントン条約とは?

よく耳にするワシントン条約を詳しく知らない方のために、少しまとめてみました。

 

 

ワシントン条約

・過剰な取引によって絶滅する恐れのある野生生物を保護する国際条約です。
・輸出や輸入を規制し制限することで流通する野生生物の数を抑えることが出来ます。
・また、間接的に密猟や狩猟、採集を減らして野生生物を保護することを目的とした条約です。
・生き物の生死に関わらず動物の爪や骨といった体の一部や死骸、それらを利用した加工品も取引の規制対象です。
・ワシントン条約では規制対象となる動植物は附属書とよばれるリストに掲載されています。
・この附属書は絶滅の恐れの度合いに応じて規制内容の異なる「附属書 I 」「附属書 II 」「附属書 III 」の3つに分かれています。
・附属書I : 今すでに絶滅する危険性がある生き物(約1000種の動植物)
・附属書II : 制限しないと将来絶滅の危険性が高くなる恐れがある生き物(約34000種の動植物)
・附属書III : 自国の生き物を守るために国際的な協力を求めている生き物(約300種の動植物)

生きている動植物だけではなく、その加工品も規制対象になっているため、海外で購入したお土産が規制対象になっている・・・なんて事もあるかもしれません。ちなみに、レッサーパンダは附属書Iのリストに掲載されています。

 

 

レッサーパンダの個体数ってどれぐらい?

夜中に活動を行うため正確な個体数は分かっていませんが、中国では4000頭~7000頭、インドでは5000頭、チベットでは1500頭、ネパールやブータンなども合わせると約1万頭前後だと推測されているようです。

しかしこの個体数も年々と減少しています。これ以上レッサーパンダが減らないように世界中の動物園などでも繁殖が行われていて、日本の動物園はその活躍に大きく貢献しているそうですよ。

 

 

まとめ

レッサーパンダがそこまで絶滅の危機に瀕していたなんて知らなかったのでとても驚きました。ワシントン条約で保護されているとはいえ、密漁などが後を絶えないそうで非常に残念に思います。

動物園などでも繁殖を試み絶滅を回避できるよう努めているそうなので、ぜひとも今後も頑張っていただきたいですね。

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