山岳部では家畜としてよく飼育されているイメージの強いヤギ。実はミニヤギをはじめ、ペットとして一般家庭でヤギを迎え入れることは可能です。ヤギの魅力や種類、飼い方などを余すところ無くご紹介したいと思います。
ヤギはペットとして飼えるの?
ヤギは様々な環境・地形に適応できる上に粗食に耐えることができる強靭な生命力から山岳部や乾燥地帯で家畜として重宝されてきました。用途としては乳用・肉用・運搬用・毛用など様々な場面で活用できる優れた家畜です。
そんな古くから人々の役に立ってきたヤギは近年ペットとして迎え入れる家庭が増えてきているようです。ペット専用に販売されているヤギの種類も存在しており、より人々の生活に欠かせない生き物となっています。
ホントに紙を食べるの?
紙を与えると積極的に食べるためヤギは紙を食べることができると考えている方が多くいらっしゃいます。昔の紙は植物から作られていることが多く、草食性のヤギは消化することが出来ました。
主食である木の葉は繊維が多く消化能力は高いのですが、現在の紙は金属やインクが含まれているものがあるため、消化しきれず腸閉塞などに陥ってしまう危険性があります。
またインクの付いている新聞紙や雑誌はインクに含まれる溶剤が中毒症状を引き起こす可能性があるため絶対に与えないでください。
寿命
ヤギの寿命は犬や猫と同じく10~15年ほどです。稀に20年以上生きる個体もいるようです。生命力が強いため基本的には長生きしますが、海外産のヤギは蚊が媒介する病気に罹るため注意が必要です。
ヤギは「腰麻痺」「線虫症」「シラミ病」など様々な病気に罹る可能性があるので、少しでも様子がおかしいと感じたら動物病院で診察を受けてください。
ヤギの種類
ペットにできるヤギの種類をご紹介します。
ザーネン
出典:名城大学農学部附属農場 遺伝資源データベース
最も有名なヤギの種類で白色の毛をまとっています。家畜としては肉用・乳用として利用されていますが、人懐っこい性格なのでペットとしても魅力溢れる種類といえるでしょう。
ザーネンはスイス原産ですが、日本の環境に適用させる目的で改良した日本ザーネンという種類も存在します。体重は60~90kg程度でオスのほうが大きいようです。
トカラヤギ
成体でも20~35kgとかなり小型のヤギです。鹿児島県のトカラ列島に古くから生息している希少性の高いヤギです。粗食や荒れ地に耐え得る強靭な生命力を持っているのが特徴です。
シバヤギ
出典:なんくるなるさぁ~♪
こちらも20~30kgほどの小型(ミニ)ヤギです。年中繁殖可能でツノが生えているのが特徴です。年々飼育頭数が減ってきており、価格も4~6万円ほどします。
小型のトカラヤギとシバヤギを掛け合わせてペット用のヤギを繁殖させている場合もあるそうです。
ヤギのペットとしての飼い方
飼育環境
ヤギは風通しがよく湿気の少ない場所が適しています。ミニヤギの場合は大人になっても大型犬ほどの大きさなので、犬小屋をヤギ小屋として代用すると良いでしょう。
犬は首輪をしますがヤギは首吊り事故に繋がりますので高めの柵で脱走しないようにします。室内でも飼育できますがトイレを覚えないので家具を汚される覚悟が必要です。
屋外で飼育している場合は必ずしも散歩をしないとダメなワケではありませんが、リードをつけて犬のように散歩させることも可能です。ペットとしてヤギを迎え入れる時は去勢を動物病院でしておくと臭い対策になりますし、性格も大人しくなります。
餌の与え方
乾燥した牧草や水分70%ほど含んだ生草を好んで食べます。目安としては体重の約8%の餌を与えますが、活動的なヤギや妊娠しているヤギは必要に応じて飼料を増やしてあげましょう。
繊維質の餌が必要なので粗飼料をメインに穀物や根菜などを補助的に与えると良いでしょう。
庭に放牧する際は有毒植物(ジャガイモ・ネジキ・トリカブトなど)を食べないように注意してください。また、パンや米など人間用の嗜好品を与えると消化しきれず死んでしまう可能性があるので、ヤギが欲しがっていても与えないでください。
お世話の仕方
ヤギは去勢・避妊をしていなければ発情期に鳴き声を頻繁に発します。また角の生える種類は除角することで事故の防止になるでしょう。蹄(ヒヅメ)は動物病院で切ってもらうか大きめのハサミで切ります。
ヤギの排泄物は多く、移動しながらするので小屋や庭が糞尿まみれになります。頻繁に掃除をして清潔に保ちましょう。
ヤギをレンタルしよう
本来はイベント用にレンタルをしているのですが、個人的にレンタルすることも可能なようです。期間は1日~数ヶ月までレンタルできますし価格も1000円/日程度です。
小屋や機材もレンタル可能なところがあるので試しにヤギと過ごしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
昔は田舎へ足を運ぶとヤギを数頭飼育している家庭も少なくありませんでしたが、最近はめっきり見かけなくなりました。
しかし、品種改良により室内でも飼育できるミニヤギなどペット用途として流通し始めているようですので、ぜひパートナーとしてヤギを迎え入れてはいかがでしょうか。