鮮やかな緑色を基調に白いラインで縁取られた美しい模様をしたゲンゴロウ。昔は田んぼや河川、溜池など身近な所に生息していましたが、現在は外来種や農業技術の影響で餌生物が減少した結果、ゲンゴロウの生息数も減少してしまいました。
鑑賞性が高いことからも熱帯魚水槽に導入されることも多く、ペットとしての人気は非常に高い昆虫となっています。ゲンゴロウをお迎えする前に知っておくべきことをまとめてご紹介したいと思います。
ゲンゴロウの特徴とは?
水流の穏やかな溜池や川に生息する肉食性の水棲昆虫です。飛翔能力があり行動範囲が広く陸上に於いても問題なく生活することができます。本種は亀のように体表を乾かす行為を行って体温調節や水カビへの対策をしているので飼育下に於いても陸地と水場が両方必要となります。
よくメダカやタナゴを捕食しているイメージがありますが、極端に弱った魚や死んで間もない魚を捕食するため熱帯魚との混泳は問題なく行えます。幼体の大顎には弱い毒があるので取り扱いには注意しましょう。
販売価格
「ゲンゴロウ」の名前で販売されている個体の大半が「ナミゲンゴロウ」という世界最大の種類です。販売価格は約2000円です。稀に「コガタノゲンゴロウ」という小柄な種類がナミゲンゴロウよりも安価で販売されていることがあります。
寿命
ゲンゴロウの寿命は約2~3年です。温度変化に強く冬季の寒い時期にも活動している個体がいます。特に越冬するために土にもぐったり巣穴を形成することはなく、飼育下ではそれほど温度管理に気を使う必要がありません。
ペットとしてのゲンゴロウの飼育方法
飼育環境
一般的なアクアリウム水槽で飼育することができます。水温は25度前後に保つと調子良く飼育できますが、特にヒーターが必要な訳ではありません。
ゲンゴロウは飛ぶ前に身体を乾かす習性があるので、アクアリウム環境だと飛び回る心配はありませんが、水カビや細菌類が身体に付着してしまって弱る可能性があるのでアクアテラリウムで飼育することが望ましいでしょう。
飼育ケースは必ず蓋をして脱走対策をしてください。強い水流は体力消耗の原因となるのでなるべく穏やかな水流になるように配慮が必要です。
水換えをする際は必ずカルキを抜いた水を使用するようにしてください。
単に一晩外に放置しておくだけではカルキが抜けませんので、2~3日直射日光を当てるかエアレーションをしておきましょう。甲羅干しをする習性があるので照明は水草用の物がおすすめです。
餌の与え方
飼育下では煮干しやジャコなどを与えることが多いようですが、自宅にアカヒレやグッピーなど増えすぎてしまった魚類がいる場合はそれを与えても良いでしょう。
動きが鈍くないと捕獲し辛く餌付かないことが多いので少し弱らせてから与えるのも一つの手です。冷凍アカムシやクリルを与えても良いでしょう。
初期費用と維持費用
初期費用は約5000円です。最も安く済ませるならプラケースに投げ込み式フィルターを入れただけの環境でも飼育できます。維持費用は照明代と電気代、カルキ抜き、水道代が必要です。
繁殖について
ゲンゴロウはしっかりと給餌している環境下では共食いは起こりません。そのためペアだけではなく、雌雄混じった複数飼育が可能です。水草や流木など隠れ家を沢山用意しているといつの間にか幼体を確認できるでしょう。
ゲンゴロウの幼体は肉食性が成体よりも強いので小さい頃はアカムシやミミズ、大型になると和金やタナゴなどを食べるだけ与えましょう。幼体は縦に長いヤゴのような姿をしていて成体の大きさよりも一回り大きくなります。取り扱う際は毒があるので素手で触らないようにすることが大切です。
飼育上で気を付けること
ゲンゴロウは陸地でも活動しますが、導入する際は必ず水合わせをしておきましょう。水合わせ時にエアレーションをする必要はありませんが、飛んでいかないようにネットなど通気性の良いもので蓋をしておく必要があります。
メチレンブルーや塩化ナトリウムなど観賞魚の薬浴に使用する薬剤はゲンゴロウにとって猛毒なので、混泳している観賞魚が病気になったら別の容器で薬浴するようにしてください。水質悪化に弱い面があるので濾過能力の高いフィルターを使用することをお勧めします。
お迎えする前は1ヶ月ほどバクテリアを定着させるために水槽の立ち上げ作業を行いましょう。
水質は弱アルカリ性から弱酸性まで幅広い水質に対応できますが、残り餌を放置したり水換えをせずに弱酸性に傾いた水は水カビが体表に発生したり、調子を崩す原因となるので日頃のメンテナンスは大切です。
まとめ
水棲昆虫は生態系があまり知られていないためペットとして飼育できるのかどうかわからない人が沢山いることでしょう。しかし、実はとても丈夫で簡単な飼育環境から始めることができるので初心者の方にも安心してお迎えいただけます。
鮮やかな色をしているので是非リビングや寝室で飼育してみてはいかがでしょうか。