大迫力の立派な後ろ脚が特徴的なキリギリス。日本国内でも数種類ほど生息しているキリギリスはバッタ目の仲間では大型の昆虫に分類されます。
カラーバリエーションも豊富なキリギリスはコレクション性が高くペットとして飼育されることの多い昆虫と言えるでしょう。キリギリスを飼育するにあたって知っておいて損はない豆知識を余す所なくご紹介したいと思います。
昆虫「キリギリス」の特徴とは?
大きさやカラー
体長3cm前後の体高が高いバッタの仲間です。国内では「ヤブキリ」と「ヒメギス」が有名で、他には「ニシキリギリス」や「コバネヒメギス」「ミヤマヒメギス」が生息しています。
カラーバリエーションが豊富で鮮やかなライトグリーンをしているヤブキリや濃い黒色が特徴的なヒメギス、茶色と緑色が混ざったナチュラルカラーをしているニシキリギリスなどコレクション性の高いバッタと言えます。
体表には多くのトゲがあり脚力が強いので取り扱う際は怪我をしないように注意する必要があります。
販売価格
キリギリスの販売価格は約1000円です。種類によって異なりますが、国内産だとそれほど高値で取引されることは少ないでしょう。
稀にアルビノ個体やピンク色、紫色などの突然変異個体が流通することがありますが、数万円ほどの高値で取引されることがあるので、まずはノーマルカラーから飼育を始めてコツを掴むことが無難でしょう。
寿命
キリギリスの寿命は約3~4ヶ月です。野生下だとオスはメスやカマキリなどの外敵に捕食されることが多く、メスは産卵した後に力尽きて落ちてしまうことが多いようです。
ペットとしてのキリギリスの飼い方
飼育環境
キリギリスを飼育する醍醐味の一つにその鳴き声を鑑賞することにあります。そのため風通しの良い虫かごで飼育されることが多く、床材を使用せずに餌と足場となる枝木のみで終生飼育が可能です。
一方でキリギリスの容姿をじっくりと観察したい方は透明なプラケースで飼育されることが多いです。その場合は腐葉土を薄く敷くことでキリギリスの体色が際立ち保湿効果も得られます。
腐葉土を用いる際は1ヶ月に1度程度ケースごと丸洗いをして新しい腐葉土に交換すると衛生的に管理できるでしょう。
スポンジや布に含ませて水を与える場合は毎日新しい水を含ませるようにしましょう。飼育ケースは直射日光の当たらない涼しい場所で管理することをお勧めします。
餌の与え方
キリギリスの食性は基本的に肉食です。コオロギの幼体やミルワーム、バッタなどキリギリスよりも小型の昆虫類を食べています。鈴虫用の人工飼料やツナなども食べますが、繁殖を狙う場合は生餌を与えていたほうが上手く行きやすいでしょう。
鰹節や煮干しなどに食い付く個体もいるので試してみて餌付くようでしたら餌の管理が楽になりオススメです。餌からの水分だけでは足らないのでスポンジやハンカチに水分を含ませて置いておくとそこから水分を摂取します。
壁面に霧吹きを軽くするのも良いのですが水滴が乾燥すると汚れて観察し辛くなってしまうのでお勧めしません。
複数飼育
キリギリスは肉食性なので狭いケースで複数飼育をしていると必ず争いに負けた個体が食べられてしまいます。ペア飼育していると最後はメスがオスを食べて産卵のための栄養補給をするので繁殖が目的の場合は共食いが必ず起こってしまいます。
大きな飼育ケースに体格が同じくらいのオスのみで複数飼育をする場合のみ成功することがあります。
初期費用と維持費用
初期費用はプラケースと餌代くらいなので1000円程度で飼育を始められるでしょう。維持費用は生餌を定期的に購入する場合は必要ですが、人工飼料を用いて飼育する場合は0円です。
累代飼育について
キリギリスを人工的に繁殖させることは非常に難しく、専門的な知識と時間が必要です。メスが産卵した卵は2~3回ほど越冬してから春~初夏にかけて孵化した幼体が土から出て活動を開始します。
そのため飼育下だと部屋の温度と外気温が大きく異なり孵化する条件が揃わないことが多く卵が腐ってしまいます。しかしお庭やベランダなどでネットを張ったプランターに卵を置いておくと簡単に孵化させることができるので、繁殖させる場合は外で管理したほうがうまく行きやすいでしょう。
幼体を確認したら茄子や鰹節などを食べるだけ与えて成長を促します。脱皮を繰り返すとキリギリスっぽさが増して大きく成長していきます。孵化して2ヶ月ほど経過すると共食いをする個体がちらほら確認されるようになるのでそれまでに各個体を隔離しておく必要があります。
飼育上で気を付けること
近隣の公園や空き地で捕獲した餌は消毒剤や殺虫剤が含まれている可能性があるのでなるべく住宅街や公園などに生息する生き物を餌にすることは避けましょう。
国内に生息するキリギリスでも地域が異なると種類や遺伝子が違う個体であることが多いので、購入したキリギリスを逃がさないようにしてください。
地面に網だけ置いて外飼いする際はヘビやアリが穴を掘って侵入することがあるので30cmほどの板を飼育領域の地中に埋めて置くと安心です。