セミの飼育方法|幼虫・成虫の注意点は?

夏の風物詩として様々な文学作品やドラマ、映画などに登場するセミ。成虫寿命が短く種類によって鳴き方が異なるなど美しく儚い存在として人々を魅了し続けて来ました。

セミは飛翔能力が高く飼育には向かないと考えられてきましたが、短期間ではありますが成虫も十分に飼育することが可能です。セミを飼育する上で知っておくべきことをご紹介したいと思います。

 

セミとは?

セミは不完全変態をとる昆虫の一種でカメムシの仲間になります。非常に幼虫期間が長いことで有名で10年以上幼虫として過ごす種類も多く存在します。

成虫期間が短く短命な昆虫としてイメージされがちですが、実は昆虫類としては比較的長寿な生き物と言えます。鳴く昆虫として有名な本種は種類によって鳴き方や鳴く時間帯が異なり種類の判別が容易となっています。

 

例えば、都心部などで見られるクマゼミは午前中に鳴きアブラゼミは日が高くなる午後、ヒグラシやニイニイゼミなど小柄なセミは涼しい朝方や夕暮れに積極的に鳴きます。

夜間に鳴くセミは少ないことから昼行性であることが覗えます。セミを採集する際に尿を掛けられることが多くありますが、鳥と同じく飛翔前に排泄を行うことで身体をなるべく軽くして飛びやすくするためと言われています。

特にセミの尿に有害な物質は含まれておらずその大半が水でできています。

 

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幼虫について

セミの幼虫は枯れ木に産み落とされた卵から孵化すると木の根がある場所まで移動して道管へ口吻を差し込み樹液を摂取しながら成長していきます。

天敵の少ない地中とはいえモグラや菌類など少なからず天敵は存在するため生存率が高い訳ではありません。

 

孵化して間もない幼虫は視力が弱い傾向にありますが、成長するに従って複眼が形成されて目が見えるようになります。幼虫から成虫へ移行する際は晴れた夕方から地上へ姿を表して時間を掛けながらゆっくりと羽化していきます。

セミの幼虫飼育は餌の確保が難しく成虫になるまで飼育することは至難の業と言えます。

大きな樹木が植えてある庭がある場合は屋外飼育が可能となり羽化の瞬間を観察することはできますが、プラケースで羽化まで持っていくとなると様々な工夫と手間が必要となります。

 

考えられる幼虫への給餌方法としてはクワガタやカブトムシ飼育に使用される登木にガーゼを巻いて樹液や昆虫ゼリーを含ませる方法やスポンジに砂糖水を多分に含ませたものを地中に埋めて毎日周囲の土と一緒に新しいものと交換する方法が挙げられます。

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いずれも手間が掛かり面倒なので現実的とは言えません。やはりセミ飼育は成虫から行ったほうが無難といえます。

 

 

セミの成虫の飼育方法

セミは飛翔能力が高く狭いプラケースに入れると飛び回って翅や身体がボロボロになった経験があることでしょう。

簡単な飼育方法としてはベランダや庭に生えている樹木にタコ糸などで身体を括り付けて枝にリードのように引っ掛けておくと飛んでいく心配はなく寿命を迎える1ヶ月間ほどは観察することができます。

 

しかし勢い良く飛んでしまうと胴体が真っ二つに切れてしまうことが多いため糸は短めにしておきましょう。屋内飼育させる場合は登木に昆虫ゼリーをはめておくか樹液を塗って給餌させます。

落ち着いてくると無駄に飛翔することがなくなりますので生体へのダメージは減りますが、ヒトが飼育ケースの前を通るとビックリして再度激しく飛び回りますので静かな場所で飼育する必要があります。

 

夏の風物詩としてイメージされるセミですが、長時間の直射日光や30℃を超える環境は最適とはいえませんので、直射日光の当たらない風通しの良い涼しい場所で飼育するようにしてください。

セミは化学製品の影響をダイレクトに受けるため飼育部屋での殺虫剤や蚊取り線香の使用は避けてください。また防虫にも使用されるアロマオイルやエッセンシャルオイルの使用も避けましょう。

 

鳴き声を聞きたい場合はオスとメスを飼育しましょう。雌は産卵器官があるため発生器官はなく、オスはメスを呼び寄せるために発声します。

ただ雌雄を同居させてしまうと交尾を行い短命に終わる可能性があるためそれぞれ別々の容器に入れて隣り合わせで飼育すると鳴き声を聞くことができるでしょう。

 

 

飼育上の注意点

セミの排泄物は水分が多いので勢い良く発射されます。

通常のプラケースでは外に排泄物を撒き散らして衛生上よくありませんので、なるべくクワガタやカブトムシ飼育に使用される密閉度の高いプラケースやコバエ防止シートなどで対策を施すことをおすすめします。

 

産卵を促すには高タンパクの昆虫ゼリーがオススメです。

セミは稀にダニが付着している可能性があるので、採集した個体を屋内飼育する場合はなるべくダニの有無をチェックして、確認出来た場合は軽く水洗いするか歯ブラシなどで落としてからプラケースに入れるようにしてください。

セミ飼育に底床は必要なく排泄物によって不衛生になることが多いので敷くことはお勧めしません。

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