トビケラの飼育方法|寿命・餌・幼虫の脱皮は?

水辺で観察することができる大きな翅を持つ水生昆虫の代表格とも言えるトビケラ。

地域によっては食用として採集されることもある身近な昆虫ですが、特徴的な見た目や行動により飼育されていることも多いようです。トビケラの詳しい飼育方法や特徴、寿命などをご紹介していきたいと思います。

 

トビケラとは?

出典:水生昆虫写真館

世界各地に生息している毛翅目と呼ばれる昆虫のことを指し、1万2千種類以上生息すると言われています。国内では約400種類のトビケラが生息しており、多くは汽水域の周辺で確認することができます。

とても有名な種類なので都心部でも見かけそうですが、実は綺麗な渓流で幼虫期間を過ごすため生息域は限定的と言えるでしょう。

本種の幼虫であるイサゴムシは自身で巣を作って身を守るミノムシのような行動が見られ、成虫になるまで水中で生活する種類が大半です。

 

基本的に夜行性で昼間は物陰でじっとしていることが多く、夜間に街灯や自販機など明るい場所で集まっていることが多くあります。

生息域が限定的で人に危害を加えることもないので害虫として扱われることは少ないようですが、大量発生した場合などは駆除対象となることもあります。

 

スポンサーリンク

 

寿命

出典:あおもり昆虫記

トビケラの成虫寿命は約1週間です。セミに近いイメージで、一生の大半が幼虫期間となっています。

飼育する場合は成虫を採集するよりも幼虫から飼育するほうがより長く楽しめます。

 

 

トビゲラの飼育方法

出典:あおもり昆虫記

トビケラの幼虫は水流が強い場所にネットを作り有機物を獲得するため水流を作ることが大切です。水流を作り出すには外部フィルターや外掛け式フィルターを活用すると簡単にできます。

また高水温に弱い種類が多いので20℃を超えないようにクーラーなどを使用して水温調節する必要があります。

水質悪化にも弱い面がありますが水流を作り出すために使用する外部フィルターで解決されますので、1週間に1回3分の1程度の水量を換水するだけで問題ありません。

 

幼虫は脱皮を繰り返して大きくなっていきますので、脱皮しない場合は環境の見直しが必要となってくるでしょう。5回の脱皮を終えた幼虫は成虫へと羽化することが多いため成虫飼育を始める準備に取り掛かってもいいでしょう。

ちなみに卵は黒っぽく沢山の卵が密集して産み付けられていることが多く、発見しやすくなっています。幼虫の形状は細長く短い足が生えており、腹部の側面に細かい毛のような物が生えた種類もいます。

スポンサーリンク

 

幼虫期間を水中で過ごす昆虫としてトンボが有名ですが、ヤゴのような翅の芽がある幼虫は少ないようです。成虫になるためには止まり木が必要なので流木や乾燥した木の枝を水面に出るように設置しておきましょう。

生きた状態の枝やアク抜きをしていない流木からは水カビが発生しやすいので注意が必要です。成虫は飛翔能力が高く明かりを求めて飛行しますが、飼育下ではそれほど大きな飼育ケースで管理する必要はなく、小さなプラケースにトビケラのみ入れておけば良いでしょう。

 

飛翔させないほうが摂食能力のないトビケラは長生きする傾向にあるため、より長く観察したい場合にもオススメです。

幼虫の容姿は種類によって大きく異なり、オレンジ色や緑色といった鮮やかな色合いをしたものから黒っぽいナチュラルな色合いをしたものまで様々です。

 

成虫の羽化する時期は4月頃から肌寒くなる秋頃までなので幼虫は一年を通して採集することができるのではないでしょうか。幼虫は酸素含有量の多い水を好むのでエアレーションを行い酸欠にならないように常に稼働させることが大切です。

塩素にはとても弱いのでカルキは必ず除去するようにしてください。

よくバケツに水をためて一晩空気に晒しておけばカルキが抜けると言われているようですが、エアレーションを行うことで水を動かすか直射日光に当て続けない限りカルキはいつまで経っても残ったままですので注意してください。

 

幼虫を管理している水槽はなるべく夜間に明るい光が当たらないように玄関などで管理することをお勧めします。管理ケースの水量はそれほど多くなくても運用することが可能で、数百匹程度なら同居させることができます。

幼虫の足場となるものが必要なので底床を用いるか細かいネットを丁度いい大きさに切って入れておくと良いでしょう。酸素の出る石が販売されていますが、水質に影響する商品が多いため使用は控えましょう。

またメチレンブルーなどの薬液も極微量でさえ致死量となりうるので使用は控えてください。

 

 

餌の与え方

出典:あおもり昆虫記

トビケラの幼虫は河川に含まれる有機物を食べているため水質浄化の役割を担っています。ただ海水産や陸生種の場合はこの限りではありません。一方で成虫は口がないため摂食することがありません。

一部の種類は樹液を摂取することもありますが、ほとんどのトビケラに摂食能力はなく幼虫期間に蓄えた栄養で生きています。

成虫から飼育する場合は給餌の必要がないので衛生的にお部屋で鑑賞することができるでしょう。

スポンサーリンク