温泉でくつろぐ姿や猿回し等の芸を披露する姿をよくテレビ番組で放送される身近なニホンザル。
社会性を持ち階級社会の中で生きるニホンザルは動物園や調教師など特殊な施設・知識が必要に思われていますが、実は許可を取ればご家庭でも飼育ができます。ニホンザルをお迎えする前に知っておくべきことをまとめてご紹介したいと思います。
ニホンザルの特徴とは?
日本の固有種で体長50cm程度のサルです。地域により体格や毛並みが異なり、寒冷になるほど毛量が増えて大型に成長する傾向にあります。
野生下では広葉樹林に生息していて数十頭ほどの集団で行動しています。一般的にニホンザルはボス猿を中心に組織されていると思われていますが、中には組織の全員が平等な集団もあるようです。
古くから『桃太郎』や『鳥獣戯画』などの作品に登場しており、人と深い関わりのある動物でした。
販売価格・寿命
生体価格は約60万円となっています。ただし一般的なペットショップで取り扱っていることは少なく、なかなか流通しないのでサル目を取り扱う専門店でこまめにチェックしなければなりません。
寿命は約25~30年です。飼育環境が整っていれば30年以上生きることもしばしばあります。日頃の体調管理や怪我・病気を未然に防ぐことで長生きしてくれることでしょう。
ペットとしてのニホンザルの飼い方
飼育環境
ニホンザルは十分な運動をしなければ筋肉が弱って骨が変形してしまう可能性があるのでケージは大きめのものを選んでください。ケージは高さのあるものを選び、立体的に移動できるように止まり木を設置するといいでしょう。
ニホンザルは集団行動をしているので普段人がいない部屋にケージを置いてしまうと寂しさのあまりストレスを抱えてしまいます。ケージはリビングや居間など常に誰かがいるところに置きましょう。放し飼いをする際に飼い主が留守のときはケージに入れるべきです。
とても知能が高いので扉を開けて入られたくない部屋に侵入されたり、冷蔵庫などお部屋のものを荒らしたりする可能性があります。また、隙間に脚を取られたり物が上から落ちてきて怪我をしてしまう危険性もあるので、サルだけで自由に過ごさせるのは危険です。
餌の与え方
ニホンザルの食性は雑食で果実や野菜の他、昆虫類等の動物性蛋白質も摂取します。
最近ではモンキーフードという人工飼料がホームセンターやペットショップで販売されているので、そちらをメインに与えると食費を抑えられるでしょう。
実は犬や猫に与えてはいけないチョコレートやネギ等を食べることができます。ただし嗜好品を多く与えすぎると好き嫌いが激しくモンキーフードを食べなくなりますのでご注意ください。
頻度は基本的に一日2回与えると良いでしょう。幼少期は頻繁に給餌しなければなりませんが、アダルト個体はそれほど神経質にならなくても大丈夫です。
初期費用と維持費用
初期費用はケージと止まり木で約3~5万円です。維持費用は食費とトイレシーツぐらいなので月々1万円以下で済むでしょう。ただしニホンザルが感染する病気は人に感染する可能性が高いので体調が少しでも悪いと思ったらすぐに動物病院で診察を受けてください。
病気や怪我の防止について
ニホンザルは鋭い犬歯を持っていますので何かの拍子に噛まれたりすれば飼い主の神経が切れて後遺症が残ってしまう可能性があります。また病気予防としてワクチン接種をした方がいい個体もいます。
いずれも専門の獣医師と相談をして処理や接種をしてください。日頃から定期検診を受けておくと早期発見に繋がりますので、お財布と相談して受けましょう。
飼育上で気を付けること
サルは集団の中で順位を付けて生きていますので飼い主との関係性がとても大切になります。お迎え前にはしっかりとサルのしつけ方について勉強をしてください。
しつけ方を間違えると人に攻撃したりお部屋を荒らされることになりますので他人にも迷惑をかけてしまいます。人間同様に日光浴をすることでビタミンD2を活用して体調を整えます。
また体内でビタミンCを生成することができないので果物を多く与えるなどして補給させる必要があります。散歩に行くときにリードを付けますが、首輪ではなく胴体に着用するタイプのものをえらんでください。
最適温度は25℃前後なので大きな温度変化に注意して管理してあげてください。ストレスサインとしてケージを揺すったり、犬歯をむき出して威嚇、自分の毛を抜いたりする行動が見られたらすぐにストレスの原因を探して改善しましょう。
まとめ
動物園で飼育されている姿を見たことのある人は多いと思いますが、許可さえ取れればご家庭でも十分飼育することができます。
犬猫やウサギなどのメジャーなペットよりはるかに扱いにくく専門的な知識が不可欠なニホンザルですが、その一方で知能の高さから深いコミュニケーションを取れることでしょう。
他のペットでは味わえない信頼関係を築くことができますので、ぜひお迎えしてみてはいかがでしょうか。