チゴハヤブサ、学名はFalco subbuteo、「ファルコ」は戦闘機の名前にも付いています。羽を羽ばたかせずに飛行する姿は戦闘機に似ています。そんなかっこいい名前ですが日本では「小柄なハヤブサ」の意味で「稚児」をつけ、和名は「チゴハヤブサ」となりました。
「稚児」とついていますが、ハヤブサの子供ではありません。和名は可愛いですが、小型の猛禽類ですので飼い主になるにはきちんとした知識が必要です。
猛禽類とは?
「猛」は恐ろしい、猛々しいの意味、「禽」は鳥の意味で、グループの総称を言います。他の鳥や動物を食べる事で「猛」とついているのですが、今では昆虫、魚を食べる種を含むワシタカ目、フクロウ目の全種を猛禽類と呼んでいます。
分類学上と言うよりもイメージによる総称になっているようです。そのため今は猛禽類は「恐ろしい鳥たち」のことではなく、神経質でとってもデリケートな鳥たちばかりなのだという事です。
そして、最近では日本鳥学会が鳥類のDNA研究を進めた結果、タカやコンドルに近い猛禽のハヤブサを「インコ、スズメの仲間」と変更したそうです。
何千年もの進化の間にインコやスズメから枝分かれした事になります。インコやスズメにはどう見ても似ていないと思いますが、進化の神秘です。
チゴハヤブサの特徴とは?
大きさ・寿命
- 目属科:タカ目 ハヤブサ科 ハヤブサ属
- 分布:ユーラシア大陸寒帯~温帯で繁殖後、インド、アフリカ南部、東南アジア、中 国南部で越冬する。 日本では夏鳥として北海道~東北地方に渡来
- 体長オス:32~35cm
- 体長メス:33~37cm
- 体重オス:130~340g
- 体重メス:130~340g
- 寿命:約20年
だいたい鳩ぐらいの大きさになります。ハヤブサとの違いは羽先が尖って見えるほど細く、尾羽が長い事です。
またハヤブサは足が白っぽいですが、チゴハヤブサは黄色をしています。そして何より猛禽類には珍しく、黒い大きなクリクリした目をしていてちょっと可愛い顔つきです。
温度管理や食べる物
日本では夏鳥と呼ばれる渡り鳥で、北海道や東北地方に渡来してきます。寒さには弱いので気温が10℃以下にならない様に注意してあげましょう。
ツバメなどの小鳥やトンボ、昆虫、コウモリを食べています。山の中にいるイメージですが獲物になるトンボや昆虫を捕まえるために見通しの良い平地や草原などに近い林に生息しています。
北海道では電柱の上に止まっている姿を写真に収められています。結構市街地にも出没しているようです。ヒナの時から育てれば人にもよく慣れ、飼い主が呼ぶと、遠いところからでも帰ってくる事ができるようになります。
ですが調教するには技術と経験が必要です。ちょっとやそっとでできるものではないからこそ、憧れます。巣は木の上にあるカラスやタカ、リスなどの古巣を使っている様です。春遅く5月上旬頃から飛来し繁殖し、9月には旅立っていきます。
ですが野鳥を保護し勝手に飼育する事は禁止されているのでちゃんとペットショップ等で見つけてください。
狩りを行うには?
出典:有限会社プラスト
鷹狩りなどで狩猟者登録は必要ありません。狩猟期間・狩猟区域・狩猟鳥獣を守って行う場合においては、県知事の許可なく行うことができます。「狩猟区等位置地図」各県知事でもらうことができます。
警察などに声をかけられ説明しても納得してもらえない場合は、環境省などに問い合わせてもらえば理解していただけるでしょう。狩猟期間、区域・鳥獣を守らないのは違法行為になります。
ペットとしてのチゴハヤブサの飼育方法
飼育費用
先ず個体価格が15万〜30万円です。止まり木(ボウパーチ)は2万円前後ですが、自作してみてもいいかもしれません。
アンクレット(足輪)と繋いでおく紐と飼い主さんの手袋も必要です。アンクレットと紐は1000円弱からありますが手袋は、皮製品で1万円ほどかかりそうです。
動物を飼うには初期投資にお金がかかるのは仕方ありません。そして一番気になるのは日常のエサです。
餌の与え方
飼育下でのエサは冷凍のマウスやウズラ、ヒヨコとなります。内臓や頭、毛などの処理済みの冷凍のもので1匹100〜200円が相場の様です。個体差はありますが、1日1、2匹を目安に与えます。
餌代だけなら犬猫とあまり変わらないかもしれませんがエサである、マウスやウズラ、ヒヨコを扱えないようであれば諦めるしかありません。人が食べるお肉では栄養が足りないからです。
鳥類が病気にかかると命取りになりかねません、幼鳥の時はなるべく生のエサを与えた方が健康体に育つようです。
エサを保存するための冷凍庫もあると便利です。小さいもので2万円ほどからあります。その他副食にミルワームなどの虫や昆虫を与えるのが良いようです。
飼育するなら屋内?屋外?
出典:熱帯倶楽部
必ずしも屋外での飼育が必要というわけではありません。チゴハヤブサはフンを下に落とす習性があるので室内飼いでも始末が楽のようです。室内ではなるべく自由に飛べるようにした方がチゴハヤブサにストレスがかかりにくいようです。
ただ室内で小動物を飼っている場合獲物となってしまいますので、飼育場所を入念に選び決めておかないと事故が起きてしまいます。ケージでの飼育は可能ですが注意が必要です。翼を広げると70〜100cmぐらいの大きさになりますので、翼を痛めてしまう事が否めません。
翼を痛めないくらいの大きなケージや小屋を用意してあげてください。庭があるならば昼間は外、夜は家の中で止まり木に繋ぐという方法ができるといいかもしれません。
ただ屋外では猫にも注意が必要です。獲物になってしまいます。また暑さ(直射日光)や寒さも気をつけます。
フンの始末は比較的楽ですが、肉食なので臭く感じる方もいます。下に新聞紙などをひき、毎日取り替えるようにすれば臭いは軽減される事と思います。
家の中で調教
出典:ベイブの野鳥日記
呼べば飛んでくる「フライト」の調教はお家の中でもできます。その場合ご褒美の用意も忘れずにします。
下手に外で行うと帰ってこないことはしばしば。ちゃんとリードをつけましょう。外だけではなく、家の中でもリードをつけ、普段から慣らしておきます。
飼育で注意するべきこと
他の動物とは違い、飼い主さんの旅行などで家をあけることは難しそうです。どうしても家を空けなければならない場合は猛禽類も専門に扱っているペットショップに頼むしかありません。
飼い主になる前にしっかりと覚悟を決め迎え入れてください。