水族館で見ることができ子供達に多大な人気を誇るペンギンはですが、実は家で飼っている人も居るそうです。ペットとしては圧倒的に少数で環境づくりが難しく、お金も沢山かかることからなかなか現実的ではありませんが、もしペンギンを飼うとしたら何が必要でどんなお世話をするのでしょうか。
法律で規制されている種もあり入手が難しいものもいますが、ここでは国内繁殖された寒冷地意外でも生息できるマゼランペンギンを紹介します。
マゼランペンギンの特徴とは？
大人になると体長70センチ、体重3.8キロでペンギンの中では中型に位置します。大体人間の赤ちゃんくらいですね。寿命は20年と言われていますが、飼育下では30年とも言われます。南アメリカの南端、ホーン岬を中心に太平洋、大西洋沿岸に生息しています。
暖かい海域に住んでいるため、ペットとしての環境づくりで氷を使う必要ありません。時速25キロで泳ぎ回り、アジやイカを捕まえて食べます。
コロニーを作って群れで生活するので、可能なら数羽で飼育するのが望ましいですが、餌代などの費用的にも難しいなら、なるべく一緒に居てあげる方が安心してくれます。
くちばしの中を覗くと、剣山のようなトゲトゲが上顎と舌にびっしり付いています。およそ可愛い外見からは想像がつかない恐ろしい光景ですが、これにより逃げ回る魚を捕まえて丸呑みできるというわけなのです。
販売価格と飼育費用
水族館で見かけるように、プールが必須です。かなりのスピードで泳ぐのでできるだけ広い方がいいようです。家に池やプールがあるならうってつけですね。
家の浴槽で飼育できると言われる人もいますが、ペンギンの運動量やストレスから考えるとまず不可能です。逆に言うとペンギンの為のプールが用意できてから飼育を検討した方が良いでしょう。陸地には風通しの良い小屋を作り、寝床とします。
首輪をつける事はできないので、フェンスでスペースを覆います。猫や犬などに狙われないように気をつけてください。
マゼランペンギンの生体は時価と言われますが、約300万〜と高額です。しかも個体数も多くないので予約販売となり、1、2年待つことは覚悟しなければいけません。
一番気になる餌代ですが、1回に体重の1割つまり約400グラムの魚を食べ、これを朝と夕の2回必要とします。食べるだけ食べたせた方が良いと言う飼い主さんもおられます。餌代は年間に約15万円くらいになるようです。
マゼランペンギンのペットでの飼い方
餌の与え方
餌の種類はアジ、シシャモ、キビナゴ、ホッケ、ワカサギ、オキアミなどです。安い時に買いだめしておき、寄生虫の心配から餌の生魚やイカは一度冷凍することをお勧めします。
その後、解凍したものを与えましょう。また、釣った魚には稀に針がそのまま口の中に残っている場合があるので必ず確認してから食べさせてください。
魚を食べるので糞の匂いもかなりのものですが、ペンギン自体の生臭い匂いもなかなかのものです。ペンギンは泳ぎながらも排泄をしますので、病気にならない為にも毎日必ず掃除をして、プールの水も変えてあげてください。
プールの水は海水が望ましいのですが、淡水でも飼育は可能です。その場合は餌に塩を含ませて与えましょう。
しつけ
ペンギンはトイレのしつけができません。根気よく掃除しましょう。呼び続けることで名前は覚えます。
呼ぶと寄ってくるようにしておくと、掃除や餌やりの時に役に立つでしょう。マゼランペンギンは他のペンギンに比べて少し気性が荒いようです。撫でてあげるスキンシップは大切ですが、必要以上に触りすぎるとくちばしで突かれてしまいます。
これは時々血が出るほどの怪我になり結構痛いようです。ペンギンの鳴き声は大きいので近所に迷惑にならないよう、防音対策もした方が良いかもしれませんね。
羽が生え変わる時期
ペンギンは体を洗うという概念はありません。尻尾のあたりに尾脂腺と呼ばれる部分があり、ここから分泌される脂を自分でくちばしを使い身体中に塗ります。
これによって水を弾くウエットスーツのような羽毛になるのです。ところが一年に一度換羽の時期が訪れます。
古い羽毛が抜け落ち新しい羽毛に変わるのですが、その時期は撥水効果が失われるので泳がなくなります。換羽前には餌をいつもの二倍以上食べるようになり体型もでっぷりと太りますが、換羽中は全く食べなくなるので段々と痩せていきます。
換羽が完了してみると、見事に元の体型に戻っているというわけなのです。これは野生下での生活が元になっているようで、換羽中は水に潜れない＝餌を取れないという遺伝子レベルの記憶から、飼育下でも同じことが起こると言われています。
換羽前には肥満の心配はせず、しっかりと食べさせてあげるのが正解です。
散歩
出典：甲府市遊亀公園付属動物園
マゼランペンギンは陸地に巣を作るので、泳ぐだけではなくて陸を歩かせてあげることも運動になります。時々散歩に行くのが良いでしょう。犬や猫に襲われないよう注意して、ペンギンのペースでトコトコ歩かせてあげてください。暑すぎるアスファルトは避けて土の上が望ましいです。
土を掘るのも得意なので喜んでくれるでしょう。ペンギンのペットは珍しく、散歩に連れて歩けばその可愛さに道行く人から写真を撮られたり撫でられたりする事は必至です。
ヨタヨタ歩く姿や、懐いて頼ってくる姿は人を惹きつけてやまない愛らしさに溢れています。抜群の可愛さを誇るペンギンを家で飼うことができたら、幸せですね。
