ヘビトンボの飼育方法|餌・幼虫の活動時期は?

奇妙な容姿で意外と大きなヘビトンボを初めて見たときは驚いた方も多いのではないでしょうか。昆虫採集の際に見かけることが多いヘビトンボですが、じっくり観察してみると大きな羽根には可愛らしい水玉模様が描かれており長い首と大きなアゴはどこかキャッチーな印象を抱きます。

水生昆虫としても知られる本種ですが、その特殊な生態系から飼育に挑戦する人もいるようで観察を続けると魅力溢れる昆虫であることに気づかされます。ヘビトンボを飼育する上で知っておくべきことや特徴などをご紹介したいと思います。

 

ヘビトンボとは?

出典:Wikipedia

幼虫時代は水中で生活して成虫になると陸生となる昆虫です。主に日本や中国などのアジア圏に広く分布しているほど身近な生き物で翅を広げた状態だと10cmを超える個体もいることから初見の方はビックリすることが多い生き物でしょう。

本種は立派な大アゴを持っており防衛手段として噛み付くことから取り扱いには十分な注意が必要ですが、毒性はなく噛まれた後に赤く腫れ上がるのは傷口から細菌類が入って炎症を起こしていると考えられます。

 

手で掴む際は軍手をするなどして保護をすると怪我の心配もなくなり、生体を傷付けることなく採集できるのでオススメです。

主に夜間に活動する種類のため水辺の街灯や自動販売機などの明るい場所に集まることが多いため、比較的簡単に採集出来るのではないでしょうか。

 

ヘビトンボの成虫が活動するのは5~6月頃で気温が25度を超えるようになると見かけることが多くなります。一方で9月頃にはポツポツと落ちていく個体を見かけ始めて11月頃までにはすっかり成虫を見ることはなくなるでしょう。

幼虫は3月頃にオオムカデに似たデザインをした大型の個体が多く見られますので、成虫の見られる河川を覗くと発見できるでしょう。ヘビトンボの幼虫は肉食性で同じ水生昆虫の小さな幼虫やミズムシなどを捕食して生活しています。

 

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ヘビトンボの飼育方法

出典:ふしあな日記

ヘビトンボは飛翔能力があり野外では飛び回っていますが、飼育下だと昆虫ゼリーを食べているか寝ていることが多くそれほど積極的に飛翔する行動は見られないため小型の飼育ケースで管理できます。

ただし翅を広げた時に10cmを超える個体が多いため20cm以上あると翅を傷つけずオススメです。

国内ではヘビトンボの他にヤマトクロスジヘビトンボとタイリククロスジヘビトンボが生息していますが、いずれも同一の飼育方法で問題ありません。

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飼育環境

出典:一寸の虫にも五分の魂

底床は使用しなくても管理できますが、足場となる止まり木は入れておいたほうがいいかもしれません。

本種は夜行性のため夜間も明るい場所に設置しておくと生活サイクルが崩れて短命に終わってしまうかもしれませんので、暗くなり涼しい玄関などで飼育することをお勧めします。

 

飲水に関しては昆虫ゼリーから摂取する量で充分なので特に水入れなどを入れる必要はありません。幼虫の飼育に関しては卵から孵化させて飼育する場合は3年ほど成虫になるまで飼育が楽しめます。

卵は基質に付いていることが多く石や木などを探すと見つけることができます。卵は7~8月頃に孵化することが多いので、春先に採集するとすぐに孵化してくれるためお勧めします。

 

ちなみに卵はその年に生まれた成虫が産卵したものが2週間ほどで孵化します。

幼虫は流れが早く水深のある場所を好み、石や流木の下に隠れている事が多いため水槽で管理する場合は水流のある水草水槽で飼育すると上手く行きやすいでしょう。

出典:沖縄の自然撮影日記

水質管理には気を遣う必要があり、水が腐りやすい止水域ができないようなレイアウトを意識して水換えを少なくとも5日に一度程度の頻度で行う必要があります。

照明を点灯する場合は時間を5時間や7時間など決めて常に点灯した状態にならないようにしてください。

 

毎回スイッチの操作が面倒な時はタイマーコンセントを使用すると便利です。孵化や蛹の時期は土の中で過ごすことが多いようなのでやや厚めに底床を敷いておくことをお勧めします。

また6cmを超えてくると成虫になるまでそれほど時間はありませんので、成虫になる際に必要となる止まり木や石を水面に出るように設置してあげてください。本種は大型なので蓋さえしていれば脱走の心配はないでしょう。

幼虫管理には水流を作るろ過装置の他に酸素含有量を一定に保つためにエアレーションを稼働させておきましょう。エアレーションを稼働させると水が腐りにくく油膜対策にもなります。

 

 

餌の与え方

幼虫時代を水中で生活する昆虫は成虫段階で摂食することは少ない一方でヘビトンボはクヌギやコナラなどの広葉樹から分泌される樹液をしっかり摂ることができます。

しかし成虫寿命は2週間と短く飼育する場合は幼虫から管理するのが一般的でしょう。

 

飼育下だと昆虫ゼリーで終生飼育が可能で、幼虫は生餌が難しい場合は鶏肉の切り身や冷凍アカムシなどを色々試して食べるものを与えましょう。

水生昆虫のトビケラやカゲロウの幼虫を捕食しているとされていますが、孵化したばかりの小柄な時期は上手く狩りできないのか食べてくれることが少ない印象なのでアカムシを与えます。

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