植木鉢や落ち葉の下などで普通に見かけるダンゴムシ、その世界最大版といった姿の生き物、通称「メガボール」。超巨大「お団子」虫の生態、謎をご説明します。
世界一大きいダンゴムシ「メガボール」の特徴とは?
正式名称を「ネッタイタマヤスデ」といいます。
マダガスカルの森林で主に腐葉土を食べて生活しており、「世界最大のダンゴムシ」と紹介されることが多く、実際にダンゴムシのように丸くなって身を守りますが、ダンゴムシではなくヤスデの仲間です。
ヤスデの仲間には他にもダンゴムシのように丸くなる種類がおり(実は日本にも数種います)、これらは通称として「○○ボール」と呼ばれていますが、ネッタイタマヤスデはその中でも最大の種で、「メガボール」と呼ばれています。
大きさ
大きい個体だと全長10cmほど、丸まったときの直系は5~7cmにもなります。軟式野球に使われるC球の規格が直系6.75~6.85cmなので、「やや小さめの野球ボールサイズ」ということになります。
「世界最大」というフレーズに魅せられて、以前から多くのマニアが飼育に挑戦してきましたが、未だ長期飼育、繁殖に成功したという報告はありません。
腐葉土を食べているというのは知られていたのですが、ただ腐葉土で飼育しただけではすぐに死んでしまい、そこに菌糸を混ぜ込む必要があるとわかったのは最近になってからのことでした。
さらに、「メガボールは腐葉土を食べるいわゆる『分解者』ですが、ミミズやカブトムシの幼虫が腐葉土を食べ、分解、排泄した、その排泄物を食べる『二次分解者』である可能性が高い」ことまでわかってきました。
メガボールは飼育を始めること自体はとても簡単です。あとはエサとなる腐葉土をどのように工夫するかだけです。
メガボールの魅力
出典:ヒロパーク
まずは「世界最大」というフレーズが多くのマニアの心をくすぐっています。また「長期飼育方法が確立されていない」ということも、「それならば自分が見つけてみせる」と、マニアたちの研究心を刺激しています。
人間にとって全く害はなく、それどころか森林を繁栄させる益虫なので、メガボールの長期飼育方法が確立されることには大きな意味があるといえます。
販売価格
本物のメガボールであれば、10,000円前後が相場です。「本物の」というのは、まだ小さい個体がもっと安価で売られており、しかし育ててみたら違う種類だったということがあるからです。
メガボールは流通しているもの全てが野生の個体であり、幼体の頃は他の種と区別が難しく、「絶対にメガボールを飼育したい」というのであればまずは信頼できるショップを見つけることが大切です。
メガボールの飼育に必要なもの
出典:ビーボックスアクアリウム
プラケース
メガボールは壁面を登ることはないので飼育容器は何でも構いませんが、外からの侵入者を防ぐためにも、やはり蓋のしまるプラケースが適しています。
高さはとくに求められないので、ごく一般的なプラケースで飼育可能です。
床材
森林における分解者であるメガボールの飼育では、床材そのものがそのまま餌になります。
長い間、多くのマニアたちが理想の床材兼餌を探し求めた結果、専門メーカーから「メガソイル」という商品が開発され発売されました。これは完全無農薬の腐葉土を発酵させたもので、現在のところメガボールの飼育には最も適した床材兼餌となっています。
菌糸
菌糸とはカビやキノコの本体を構成する細胞のことで、メガボールはこの菌糸の混ざり込んだ腐葉土を食べて、或いは食べた腐葉土を菌糸の力を借りて消化し、生きていると考えられています。
「メガソイル」だけで飼育をしてそれなりの結果を出している飼育者もいますが、他の大型ヤスデ、大型ゴキブリと比べれば短命に終わっています。メガボールはその体の大きさを考慮すればかなり長寿なはずなので、やはり完全な飼育方法が確立されたとはいえないのが現状です。
ただし、メガソイルをよく食べることは事実で、あとは長期飼育に向けてメガソイルにどのような工夫をすればよいか、何を加えればよいかが課題となっています。
また、メガボールが菌糸を必要としていることも事実であり、メガソイルに菌糸をどのくらい混ぜ込むか、或いはメガソイルの上に菌糸をのせるだけにしてメガボールが好きなときに食べられるようにするか、この辺りは飼育者の勘が求められています。
落ち葉
出典:世界仰天生物日記
メガボールは体こそ大きいものの、性格は他のヤスデやダンゴムシと変わらず、自分の体が露出している状態を好みません。
床材であるメガソイルの上にクヌギなどの広葉樹の落ち葉を大目に散らしてあげれば、隠れて落ち着くことができます。
加温器具
メガボールの好む温度は20℃から、どんなに高くても25℃ほどといわれています。
地表凄または地中凄の生き物の飼育にはよくパネルヒーター(フィルム状の加温器具)が用いられますが、メガボールの飼育においては、プラケース自体をその温度の中に置いてあげることが望ましいといえます。
熱帯植物の管理に用いられる簡易温室、または発泡スチロールなどで簡単な温室を作り、温度を一定に保って飼育するとよいでしょう。
まとめ
メガボールことネッタイタマヤスデは、その巨大な体に見合わずとてもデリケートな生き物です。マダガスカルという生き物の楽園に生息するメガボールの長期飼育方法を確立させることは、多くのマニアの夢でもあります。
「我こそは」と思う方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。