オオカミといえば怖いイメージや、ゲームや漫画のキャラクターとしてのイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。
どのような種類がいるか、特徴や生態については知らない人が多いかと思います。オオカミについてまとめてみました。
オオカミについて
オオカミという動物
オオカミはネコ目イヌ科イヌ属に属する肉食の哺乳動物です。通常オオカミといえばタイリクオオカミ(ハイイロオオカミともいう)のことを指しますが、今までに数多くの亜種が存在しております。
その多くは北半球に広く分布していましたが、現在は絶滅の危機に陥っています。日本に生息していたニホンオオカミは絶滅してしまいました。
大きさや見た目などの特徴
大きさは生息地域や亜種によって異なりますが、イヌ科では比較的体の大きな分類に入ります。その体長は100~160㎝で、体重は25~50kgほどです。
大きい個体では稀に50kgを超える個体もいるそうです。1939年にアラスカで79㎏のオオカミが発見されており、2012年には89㎏のオオカミがカナダのマニトバ州で捕獲されています。
一般的な体重が50kgなので、かなりの大きさだと分かりますね。見た目はイヌと似ていると思っている人が多いと思います。しかしイヌよりも首や尻尾が太く、足もイヌより大きいです。
頭から鼻にかけてのラインも、イヌより滑らかです。体毛は灰褐色が多いですが、個体によって白~黒色まで幅広く確認されています。
北に行くほど白くなるようです。仔オオカミの頃は色が濃いです。体毛は二層になっており、保温・防水に優れています。
生態
オオカミは社会的な動物で、主につがいを中心に平均8~15頭ほどの群れを形成します。つがいが群れの最上位なのですが、変動することもあります。
順位は体の大きさや強さ出来ますのではなく、主に性格や態度で決定します。この群れは「ウルフパック」と呼ばれ、それぞれに縄張りを持っており、強い絆で結ばれています。
しかし、中にはコミュニケーションをうまく取れなかったり、リーダーを決める際に敗れてしまったりすると群れを離れて単独で行動する個体もいます。いわゆる「一匹狼」ですね。
この様なオオカミの狩り成功率は10%にも満たないので、常に空腹状態である個体が多いです。オオカミは群れで狩りをします。
狩りの成功率は規模が大きくなるほど上がっていき、少数規模でも50%ほどです。一匹狼の狩り成功率がどれほど低いか分かりますね。
コミュニケーションのとり方
オオカミのコミュニケーションといって、よく思い浮かべるのは遠吠えではないでしょうか。遠吠えは群れからはぐれた個体が、群れに気づいてもらうために行います。他にも、ここは自分のテリトリーであることを周りに教えるために行う場合もあります。
においでもコミュニケーションをとります。オオカミの嗅覚はとても優れているので、糞や尿でマーキングし、テリトリーを主張します。これによって、他のオオカミはテリトリーの場所を知ることができるのです。
しかし、それ以外にもイヌと同じようにボディランゲージをしてコミュニケーションをとります。仰向けになり、弱点である喉や腹部を見せることは「服従」を表しています。
怒った時は、耳を立てて毛を逆立てます。さらに、歯をむき出しにします。尻尾を振ったり、口から舌が垂れ下がっている時は、嬉しい時です。
オオカミの種類
タイリクオオカミ
出典:NatureEarth
タイリクオオカミ(別名:ハイイロオオカミ)はユーラシア大陸や、北アメリカ大陸などの北半球に生息しています。このオオカミのことを一般的に「オオカミ」と呼びます。様々な種類のオオカミがいる中で、最も広く生息しています。
大きさは生息地の食糧にもよりますが100㎝~160㎝ほどで、50kgを超えるものはほとんどいません。
ですが、全長2mで体重が90kgある個体の記録もあるようで、現存するイヌ科の中では最大の種です。獲物はバイソンやオオツノヒツジといった大型動物だけでなく、ウサギやネズミといった動物も捕らえます。
ホッキョクオオカミ
ホッキョクオオカミはその名の通り、北極圏に生息するオオカミです。また、オオカミの中でも比較的穏やかな性格をしています。
大きさは110㎝、体重が成長したオスで80kgとタイリクオオカミよりも小さいです。獲物はトナカイやホッキョクウサギ、他にもセイウチや魚なども捕らえます。体毛が真っ白なのが特徴的です。
イタリアオオカミ
出典:Wikipedia
イタリアオオカミはその名の通り、イタリアに生息するオオカミです。イタリアでは1970年まで駆除されており、その数は約100頭までに減ってしまいました。
人や家畜を襲う動物として当時の新聞に載ったことで、駆除されるようになったようです。しかし、1970年代に保護活動が始まり、今では1500頭ほどに数を増やしています。
体毛は黒や灰色、茶色です。大きさは140㎝ほどですが、体重が40kgほどしかないためタイリクオオカミと比べるとほっそりとしています。獲物はイノシシやウサギなどの小動物を捕らえます。
メキシコオオカミ
メキシコオオカミは、アメリカの南部やメキシコに生息するオオカミです。しかし、ウシなどの家畜を襲うとして駆除され、1970年代から数を減らしてきました。
現在は絶滅の危機に瀕しています。そのため、アメリカやメキシコでは絶滅危惧種に指定されており、保護活動が行われています。2006年にはで約300頭が飼育されています。
さらに、1998年にはアリゾナ州やニューメキシコ州でメキシコオオカミの再導入が始まり、2010年には50頭ほどの野生のメキシコオオカミが確認されました。
大きさは、約167㎝ですが体重が36kgほどしかないアメリカに生息するオオカミでは最も小さいオオカミです。
獲物はヘラジカといった自身よりも大きな動物を捕らえますが、ウサギといった小動物も捕らえます。体毛は黄褐色や黒色・灰色などが混ざっています。
メキシコオオカミはシートン動物記に登場する「狼王ロボ」のモデルとなったオオカミです。
アメリカアカオオカミ
出典:Wikipedia
以前はアメリカに広く生息していましたが、現在アメリカアカオオカミはノースカロライナ州に生息しています。
このオオカミは分類で様々な説があり、コヨーテとタイリクオオカミの交雑種説、タイリクオオカミの亜種説、独立種説の3つの説があります。現在は、一般的に独立種のオオカミとして分類されています。
アメリカアカオオカミは害獣として駆除され、野生のアメリカアカオオカミは1989年に絶滅してしまいました。
その後、飼育下で繁殖した個体をノースカロライナ州の国立保護区に再導入し、少しずつ数を増やしています。
大きさは130㎝、体重は40kgほどで、タイリクオオカミとコヨーテの中間ほどの大きさです。体毛は褐色や黒色・灰色です。獲物はウサギやシカなどですが、昆虫や甲殻類も食べることがあります。
絶滅したオオカミの種類
ニホンオオカミ
出典:男のロマンを求めて
ニホンオオカミは日本に生息していたオオカミで、1905年に捕獲されたニホンオオカミを最後に絶滅してしまいました。北海道に生息していたエゾオオカミとは別の種として区別されています。
ニホンオオカミは日本の生態系のトップでしたが、絶滅したことによりイノシシやニホンジカ、ニホンザルといった野生動物が大量繁殖してしまいました。
絶滅の原因は、人による駆除や狂犬病などの伝染病によるものではないかと考えられています。大きさは114㎝で、体重は15kgほどと小型のオオカミです。
獲物はニホンジカなどを捕らえていましたが、人里に現れ飼い犬や馬なんかを襲うこともあったようです。そんなニホンオオカミですが、たびたび目撃証言が出ており、実は生きているのではないかという話もあります。
ダイアウルフ
ダイアウルフとは、今から約1万年前にアメリカ大陸で生息していた最大種のオオカミです。大きさが160㎝を超えており、タイリクオオカミよりもどっしりとした体格だったと言われています。
当時の地球に生息していた大型の草食動物を群れで捕らえていたと考えられています。最終氷期後に絶滅しており、発見された化石で最も新しいものは9440万年前のものです。
まとめ
ゲームや漫画では恐ろしいものとして描かれるオオカミですが、仲間同士の絆が強いことが分かりました。
単にオオカミといっても様々な種類がいて、その多くが絶滅の危機にあることはとても残念です。オオカミが増えることで生態系が回復するかもしれませんね。