猫のような、アライグマのような…愛らしい姿と大きな縞模様のしっぽが特徴的なカコミスル。
なかなか見慣れない、聞き慣れない動物かもしれませんが、実はペットとして飼うこともできます!そんなカコミスルとはいったいどんな動物なのでしょうか?詳しくご紹介しましょう。
カコミスルの特徴とは?
出典:アニマルプランニング
カコミスルは容姿が小型のイエネコにも似ていますが、ネコ目アライグマ科のカコミスル属に分類されるアライグマの仲間です。
そもそも、アライグマ科にはアライグマ属のほか、ハナグマ属、ヤマハナグマ属、オリンゴ属、キンカジュー属、そしてカコミスル属の6種類に分かれており、アメリカ全般にわたって広く分布し、木登りが上手なことでも知られます。
大きさ
出典:上野動物園西園
カコミスルはそんなアライグマの仲間の中では最小と言われ、ネコより小さい体長は約30cm〜42cm、体重は約0.8kg〜1.5kg。
カコミスルという名前は”カコ”にあたる部分が「半分」、”ミスル”にあたる部分が「ピューマ」を意味するメキシコのナワ族の言葉、ナワトル語が由来と言われます。
また、ネイティヴ・アメリカンの言葉で「小さいピューマ」が由来だとも言われています。
生息地は?
出典:アニマルプランニング
カコミスルという名前の由来からも分かる通り、カコミスルは北アメリカ中西部からメキシコ南部にかけての地域が生息地です。また、アリゾナ州では州獣に指定されて親しまれています。
乾燥した砂漠地帯に生息し、河岸の渓谷地帯や洞窟、坑道などといった水場にも近く、岩や大きな石が散在している岩石地帯を好んで暮らしていると言われます。夜行性で、木登りは得意ですが、主に地上で活動しています。
岩穴や樹洞などのほか、使われていない木製の建造物などの廃墟もすみかにします。人に慣れやすい性格をしており、ネズミを獲るのがネコよりも上手いと言われ、アメリカでは飼い猫が世界中に広まる前からネズミ退治のために飼い慣らされていました。
中でも、アメリカ各地の鉱山で働く鉱夫が害虫やネズミ駆除のために飼っていたことから”Miner’s cat”(鉱夫ネコ)と呼ばれていたほど。ちなみに、カコミスル属はカコミスルのほか、クロアシカコミスルも属します。
クロアシカコミスルは中央アメリカに分布し、メキシコの一部の地域ではカコミスルと分布が重なりますが、絶滅の恐れのある世界の動物に関するレッド・データ・ブックによると低リスク種となっており、継続的な保護策の対象になっているなどの希少な動物としても知られます。
生態は?
カコミスルの体毛は柔らかく、体色は淡黄褐色から黒褐色、下面は白色です。手足は短いですが、アライグマのような縞模様の尾は長さが約31〜44cmと体より長いのが特徴。
約7本ずつ並ぶ白黒の輪のような模様から「リングテイルキャット」という英名があります。
ちなみに、猫の種類でリングテイルと呼ばれるものとは全くの別物で、こちらはカコミスルとの混同を避けるために「アメリカンリングテイル」と名称が正式に変更されています。
この特徴的な大きな尾は、足場が狭い場所でもバランスを取るのに役立っています。さらに、柔軟な足の関節は180度以上回転させることができるため、垂直の壁も素早く登ることができ、岩がちな地域でも敏捷に活動することができるのです。
また、半分引っ込めることができる爪と聴力が発達した大きな耳も武器にして獲物を捕まえます。
カコミスルの飼い方
出典:アニマルプランニング
カコミスルは、北米ではペットとして飼われることも少なくないようですが、日本ではまだまだ珍しいペットです。購入する場合は珍しいペットを扱うペットショップや専門店に相談しましょう。価格は約35万円から50万円が相場のようです。
餌の与え方
アライグマの仲間は基本は雑食性で、中でも肉食傾向が強い種、植物食傾向が強い種に分かれますが、カコミスルは肉食傾向が強い雑食性。
野生では、果実などの植物質もわずかながら食べるようですが、主にげっ歯類やコウモリなどの小型ほ乳類、トカゲ、小鳥や卵、昆虫などを捕まえて食べています。
飼育の際は、ドッグフード、肉や煮干し、にんじんなどの野菜やバナナなどの果実を与えるといいでしょう。また、カコミスルを購入する際に、どんな食べ物を食べ慣れて育ったのかといったことも詳しく聞いておくと参考になります。
体はネコと同じくらいのサイズですが、尾が長くて大きいのでケージは犬用のものなど、大きめのものがいいでしょう。多くの動物がそうですが、カコミスルは小さい頃から飼うと人によくなつくと言われますので子どもの頃から飼い始めるのがおすすめ。
ただし、カコミスルは肉食性の強い動物ですからもちろん獰猛な面も持ち合わせていると言えます。さらに、日本でのペットとしての飼育例が少ないことから飼育に関する情報量も少ないのが現状です。
愛くるしい容姿のカコミスルですが、可愛いだけで飼うのではなく、飼育の難しさも十分把握した上でよく検討する必要があります。カコミスルは飼育の情報量が少ないだけでなく、珍しい動物のため、診察してくれる動物病院も限られてしまいます。
何かあったときや困ったときのために、信頼できる獣医師やアドバイザーを見つけておくと安心です。お迎えしたらカコミスルが快適に暮らせるよう飼育環境に配慮し、少しずつ信頼関係を築いていきましょう!