アザラシといえば、寒い地方に住んでいて何よりも可愛いイメージですよね。アザラシはどのような生態でどんなものを食べているのか、どのくらい種類はいるのかなどを調べてみました。
アザラシについて
特徴
アザラシは、鰭脚類という海生哺乳類のグループに属しており、ネコ目アザラシ科の動物です。アザラシには多くの種類がおり、体長が最大で約5.8m、体重が約5tにもなり、最小では体長約1.4m、体重約50kgと種類によって様々です。
体色は生まれたばかりは白色ですが、成長と共に灰色がかってきます。体色は生息地や季節によって変わるので、アザラシの赤ちゃんが全て白色とはなりません。
大人のアザラシも灰色だけのものもいれば、黒や白の点々模様があるものもいます。アシカなどの他の鰭脚類と比べて種が多いため、群れを作って生活する種もいれば、単独で生活する種もいたりと、種によって異なります。
生態
アザラシはその体格から、地面を這うようにして進みます。しかしその分潜水能力にたけており、長時間息を止めることが出来るため1500mほど潜ったり、約2時間潜り続けることが出来ます。
アザラシの種によって食べ物は異なります。魚介類や甲殻類を捕食するものが多く、オキアミやペンギンを捕食する種もいます。捕食方法としては海中で泳ぎながら捕食することが多いです。
種によっては深海まで獲りに行くものもいます。天敵としてはシャチやホッキョクグマが主ですが、サメや別種のアザラシが天敵となることもあります。
アザラシのヒゲには多くの神経が通っており、餌を獲るうえでとても重要になっていきます。魚などが動くとその振動をヒゲで感じ取り捕食します。
また、深海などでは視覚が上手く働かないため、ヒゲの感覚を使って狩りを行います。
寿命
寿命は30年ほどの種が多いです。
しかし、20年ほどで寿命を迎える種もいれば、40年~50年近く生きる種もいます。種だけでなくオス・メスでも寿命が異なります。
生息地
主な生息地は北極や南極といった寒冷地ですが、熱帯に生息しているアザラシもいます。日本では北海道に生息しており、5種類のアザラシが確認されています。
北海道では、アザラシだけを飼育している施設もあり、保護活動も行われています。
繁殖
アザラシの繁殖期は種によって異なりますが、4~5月頃が多いです。妊娠期間は1年の種もいれば2~3週間の種もおり、4月や9~10月に出産をします。
出産する場所は主に氷のある海上ですが、陸地で出産する種もいます。この時の出産場所によって赤ちゃんの体色は変わります。
メスの性成熟はおよそ4歳で、そのころから求愛行動が見られるようになります。夫婦形式は多種多様で、一夫一妻や一夫多妻の種から、ハーレムを形成する種もいます。
似ているよく間違えられる動物
アザラシは、アシカやオットセイなどの動物と間違えられやすいです。先ず、アシカとの違いですが耳介があるかどうかです。耳介というのは、私たちが主に「耳」と呼んでいる外側に出ている部分のことを言います。
アシカにはこの耳介があるのですが、アザラシにはありません。アザラシは目の後ろ側に穴が開いており、そこが耳の穴になります。耳以外にも、鉤爪の違いで見分けることが出来ます。
アザラシの前足には鉤爪がありますが、アシカには無く大きなヒレの形をしています。アシカは後ろ足も大きなヒレの形をしており、このヒレを体の下に入れることが出来すため、陸上を歩くことが出来ます。
しかし、アザラシはヒレを下に入れることが出来ないので這うような形で移動します。次にアザラシとオットセイの違いです。
オットセイにも耳介があるため、この違いで見分けることが出来ます。また、オットセイの耳介はアシカに比べて大きいため、見分けがつきやすいです。
この他にも、ヒレの形状や体毛にも違いが見られます。アザラシに比べオットセイは前足と後ろ足のヒレが発達しており、陸上で歩くことが出来ます。
ショーなどで手を叩いている芸をしているのもオットセイやアシカが多いです。体毛の違いは、その量です。アザラシは体毛が少なく、皮下脂肪によって体を温めています。
オットセイは体毛が多く、外から見える体毛の下に綿のような毛があるためそこに空気を溜めて層を作ることで体を温めています。その為、アザラシに比べて皮下脂肪が少ないです。
アザラシの種類
日本に生息するアザラシ
日本にはゴマフアザラシ・ワモンアザラシ・ゼニガタアザラシ・クラカケアザラシ・アゴヒゲアザラシの5種類のアザラシが生息しており、いずれも北海道沿岸で目撃されています。
ゴマフアザラシ
北海道の海域で見られ、多くの水族館や動物園で飼育されています。流氷が無くなると去っていくものが多いですが、流氷が無くなっても留まる個体や夏でも目撃されています。
ゴマフアザラシの由来は、体の斑点がゴマのように見えるからとも言われており、英名でも斑点があるアザラシとなっています。
ワモンアザラシ
北海道以外では北極海に多く生息しています。ワモンアザラシはアザラシの中でも最も小さいアザラシとなっています。
背中側に灰色や黒色の斑紋があり、多くの斑紋は白く縁取りされています。この事から、別名フイリアザラシとも言われています。
氷上で多くの時間を過ごしており、氷床や流氷のある場所で生活しています。鉤爪を使って氷に呼吸穴をあけることが出来るため、他のアザラシよりも行動域が広いのが特徴です。
ゼニガタアザラシ
ゼニガタアザラシは、日本にいるアザラシの中でも唯一定着するアザラシです。北海道東部で見られる以外では、北太平洋や北大西洋に広く生息しています。
乱獲や漁の網に引っかかってしまうことから生息数がかなり減りました。準絶滅危惧種に指定されていますが、いまだに網にかかってしまうことが多いです。
クラカケアザラシ
出典:Wikipedia
北海道で見られることは稀なアザラシで、オホーツク海やベーリング海周辺に生息しています。単独で行動することが多く、帯状の模様が特徴的です。
飼育している所が少なく、北海道のおたる水族館でのみ飼育されています。
アゴヒゲアザラシ
今まで紹介したアザラシの中では最大のアザラシで、模様はなくヒゲが発達しているが特徴です。
また、声にも特徴があり歌声のようだと言われています多摩川で目撃されて一躍有名になった「タマちゃん」も、このアゴヒゲアザラシに分類されます。
北極に生息するアザラシ
タテゴトアザラシ
体に「U」の逆のような模様があるのが特徴のアザラシで、赤ちゃんは白い体毛に覆われています。
画僧検索をするとタテゴトアザラシの赤ちゃんが出てくることが多いです。イヌイットでは今でも食料や毛皮を目的として狩りを行っています。
ズキンアザラシ
ズキンアザラシは鼻を黒や赤色の風船のように膨らまし、威嚇や求愛を行います。黒色の場合は鼻を膨らませているだけなのですが、興奮してくると鼻の中にある鼻中隔を膨らますことで赤色の袋が出てきます。
南極に生息するアザラシ
ミナミゾウアザラシ
ミナミゾウアザラシは体長が6m、体重が4tに及ぶ個体もいる最大のアザラシです。成長すると鼻がゾウのように長くなります。
このアザラシはハーレムを作り、メスをめぐって激し戦いを繰り広げます。その激しさは、時に血を流すほどです。
ヒョウアザラシ
ヒョウアザラシはかなり獰猛な性格をしており、大きな口と鋭利な牙が特徴的です。主にオキアミを食べるのですが、魚なカニクイアザラシを食べることもあります。泳ぐ速度が速く、体長はメスの方が大きいです。
その他のアザラシ
ハワイモンクアザラシ
このアザラシはハワイに生息しているアザラシで、乱獲によって個体数は少なくなっており絶滅危惧種に指定されています。
生まれたての赤ちゃんは黒色をしており、成長と共に段々と灰色になっていきます。
バイカルアザラシ
バイカルアザラシはロシアのバイカル湖に生息しており、世界で唯一の淡水に生息しているアザラシです。目が大きく、透明度の高いバイカル湖では視力を頼りに狩りをすることが知られています。
まとめ
アザラシといっても多くの種類がおり、日本でも見られることが分かりました。また、海や寒い地域だけでなく、ハワイやバイカル湖にも生息しているようですね。
アザラシの中には絶滅が危惧されている種もいるため、保護活動にも力を入れていく必要がありそうですね。