鹿の種類|二ホンジカの生態、特徴は?

シカと聞いて思い浮かべるのは奈良ですね。日本でもとても馴染みの深い動物ですが、意外とその生態や種類については知られていません。

野生のシカはどのようにして暮らしているのか、世界中で何種類ほどのシカがいるのか、日本で暮らすシカとの正しい共存の方法などについてまとめてみましたので最後までご覧ください。

 

動物鹿について

シカとはシカ科に属する哺乳類動物です。雄は立派な角を持つ種類が多く、角は年に1回抜け替わります。

森林に住む小型のジャコウジカや草原に住む大型のトナカイなど世界中のサバンナや森林、日本でも動物園や森林などで見かけることができます。

ただシカと呼んでもその種類は全部で約16属36種が存在しています。そしてシカの多くは「常緑広葉樹林」「落葉広葉樹林」「寒帯草原」など多様な場所で生息していますが、森林から離れて生活することはほとんどなく明るい開けた森林などで生活をしているようです。

 

 

大きさは?

シカは小型の種類から大型の種類まで幅広く存在し、小さな種類で約70cm~、大きな種類で約180cmとかなり幅があります。

そのため体重も6kg~800kgとこちらもかなりの体重さがあるようです。

 

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特徴は?

シカといえば立派な角が特徴的ですよね。ウシ類などの角とは大きく異なり、シカ類の角は毎年1回抜け落ち、再び短毛で覆われた皮膚を被った袋角(ふくろづの)が生えてきます。

シカが持つ袋角は血流に富み傷つくと形が変わってしまうためシカは袋角を傷つけないようにしているようです。

 

そして角の発育が止まり角化が完成すると樹木などに角をこすりつけて皮膚を剥がします。

しかし大きな牙を持つジャコウジカやキバノロなどは角をもたず、キョン類などは角があっても短いのが特徴です。種類によって異なるのもシカの大きな特徴でもあります。

 

 

ペットとして飼育可能?

シカをペットとして飼育する点についてですが、簡単に言うと可能ではあります。しかしこれには様々な条件があり、それらを全てクリアしなくてはいけません。

まず野生のシカを捕獲するには鳥獣保護法により捕獲する時期や捕獲する人は細かく規制されています。そのため許可無く捕獲する事や飼育することはまず出来ません。

また、奈良公園にいるニホンジカは天然記念物に指定されているので捕獲することはできません。

 

 

どうしたら飼育が出来る?

愛玩用として飼育したいのであれば各都道府県知事の許可が必要になります。また、捕獲したシカを飼育したいのであればそれもまた都道府県知事の許可が必要です。

無許可での捕獲・飼育は禁止されていますので注意してください。

 

 

奈良公園のシカについて

どうして奈良公園にはあんなにたくさんのシカがいて、しかもなぜ天然記念物に指定されているのか知らない方も多いはずです。

ということで奈良公園のシカについて調べてみました。

 

 

春日大社の神使

全国に約1000社ほどある春日神社の総本社が奈良にある春日大社であり、その神使がシカだそうです。

春日大社創建の際に茨城県にある鹿島神宮の祭事である武甕槌命(たけみかづちのみこと)が
神鹿に乗ってやってきたと伝えられることから、以降春日大社ではシカを神使として扱っています。

 

そのため奈良公園のシカは古くから手厚く保護されているのです。伝説によると誤ってシカを殺してしまった子供がシカの死骸と共に生き埋めにされ、その伝承墓が奈良公園周辺に残されています。

しかし明治維新からは手厚い保護の反発もあり戦中~戦後までの暫くの間は食糧として狩られ、その結果シカの頭数が2桁まで減少してしまいました。その後、奈良市が保護に努め国の天然記念物にまで指定されたのです。

 

 

心無い人によるシカへの危害

奈良公園のシカが増え観光客のシカ目当てに来る人が多いため、中にはシカに対する虐待行為を行う者がいるのが現状です。

奈良公園にいるシカは公園内で販売されている鹿せんべいを購入すると与える事ができますが、面白半分でシカに対して紙やゴミなどをわざと食べさせる観光客がいます。

 

シカは何でも口にしてしまうため与えられた物を食べてしまいますが、一度口にした物を吐き出すことがとても難しくそのまま飲み込んでしまいます。

そのため奈良公園で見つかったシカの胃の中から4kgものビニール袋が見つかるなど悲しい事件も起きています。

 

これらの行動は動物愛語法違反にあたり、そして天然記念物を傷つける行為で文化財保護法により5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金となります。

シカは色盲なため色を区別することができません。心無い人によるシカへの危害が減ることを祈ります。

 

 

鹿の種類

シカには小型の種類と大型の種類のシカがいます、小型の代表的なシカといえばキョン・プーズーなどが存在し、大型の代表的なシカといえば、トナカイ・ヘラジカなどがいます。

それぞれの特徴などを挙げてみましょう。

 

 

キョン(シカ科ホエジカ属)

出典:ミニヤギのモ~ミン

キョンとはシカ科ホエジカ属の小型のシカであり日本では環境省から特定外来生物に指定されています。

体長70cm~100cmほどで体重は10kg~15kgほどしかありません。雄には短い角と牙が生えています。

日本では動物園などで飼育されていた個体が逃げ出し野生化してしまい、野生化したキョンによる農作物被害が報告されています。許可無く飼育することや国内に持ち込むことが禁止されています。

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プーズー(シカ科オジロジカ亜科)

出典:動物園放浪記

プーズーとはシカ科オジロジカ赤の小型のシカであり、チリやアルゼンチンなどの一部の地域にしか生息していない準絶滅危惧種のシカです。

体長70cm~80cmほどで体重は5kg~10kgほどしかありません。世界最小のシカとも呼ばれています。

 

角は雄にしか生えておらず角の長さは約8cmほどです。四肢は太くて短く夏毛は赤褐色で、冬毛は灰褐色になります。

日本でプーズーが見られるのは埼玉県東松山市にある「こども動物自然公園」のみです。2017年2月にはプーズーの赤ちゃんも誕生したようです。

 

 

トナカイ(シカ科トナカイ属)

トナカイとはシカ科トナカイ属の大型のシカでサンタのお供として有名ですね。北極圏周辺に生息し寒いところで暮らしているシカです。

体長120cm~200cmほどで体重は60kg~300kgもあります。シカ科で唯一、雄雌両方に角が生えているのが特徴です。

 

これは雪などを掘ってエサを得る役割も果たすためで、雄よりも雌のほうが角が大きいこともあります。

雄は春に角が生え秋~冬にかけて角が抜け落ち、雌は冬に角が生え春~夏にかけて角が抜け落ちるようです。

 

サンタクロースとトナカイの関係については2つの伝承があり、1823年に発表された「サンタクロースがきた」という子供向けの詩と、もう1つは1939年に発表された童話の「ルドルフ 赤鼻のトナカイ」というものです。

後に同名のアニメ映画とその主題が赤鼻のトナカイであったことから今でも世界中に広く親しまれているようです。

 

 

ヘラジカ(シカ科ヘラジカ属)

ヘラジカとはシカ科ヘラジカ属の大型のシカで別名オオジカとも呼ばれています。英語ではユーラシア大陸のヘラジカをエルクと呼び、北アメリカのヘラジカをムースと呼ぶそうです。

体長240cm~310cmほどで体重は200kg~800kgもあり、世界最大のシカです。雄はヘラのように平らな角を持つため和名でヘラジカと呼ばれています。

 

この角はとても大きく、最大で200cmを超えることもあり人間よりも大きな角を持つ個体も存在します。

カナダではビーバーと共に国を象徴する動物に挙げられており、スウェーデンやノルウェーでも森の王と呼ばれ国の動物とされているようです。

体こそ大きいですが性格は大人しく、多くの国で愛されています。そんなヘラジカですがカナダなどで道路を横断するヘラジカとの事故が多発しており、体が大きいが故に時に重大な事故にも発展してしまうようです。

 

 

ニホンジカについて

日本で一般的にシカと言う場合はニホンジカにあたります。奈良公園にいるシカもニホンジカなのですが、この奈良公園にいるニホンジカは天然記念物に指定されています。

ニホンジカは日本で唯一分布しているシカ科の動物であり、北部個体群は大型、南部個体群は小型になる傾向があるようです。

体長90cm~190cmほどで体重は25kg~130kgほどあります。そして雄にしか角が生えておらず生えた角は4年ほどで立派な角へと成長します。

 

 

ニホンジカの生態は?

日本では常緑広葉樹林や落葉広葉樹林や草原などに生息していますが、一方で森林から離れることなくその森林の周辺や森林内の草地などの環境を好み生息しています。

植物食で草や木の葉、ササや果実などを主に食べますが人が住む場所まで降りてきて農作物を荒らし育てた作物を食べてしまうといった報告が相次いでいます。

これらはニホンジカが住む森林などが伐採されニホンジカの住む場所が減ってきている事が主な原因であり、また、エサが豊富にあるという観点から森林を降りてまで食べにきてしまっているようです。

 

 

ニホンジカによる農作物被害の対策方法

ニホンジカによる農作物被害で迷惑をしている方もいるかと思います。また、新しく農業を始める方など、きちんとした対策を行って被害を減らしましょう。

 

対策その1:「柵を張る」

畑や水田を金属柵・ネット柵・電気柵などで囲いシカが侵入するのを防ぐ。金属柵やネット柵に忌避剤(シカが嫌がる匂のするもの)を設置することでさらに効果を高める事ができます。

 

 

対策その2:「餌場や隠れ家をなくす」

家の周りや農地の周りに生えている薮や雑草などの草刈りを行い、シカが隠れる場所を減らす。廃棄する農作物を野外に放置しない事も重要です。

生活ゴミ(生ゴミ)などを食べられないようネットなどで防ぎ、ゴミを出す時間をきちんと守る。また、番犬を飼うなども効果があります。そして地域ぐるみで対策を実施することで絶大な効果を発揮します。

 

 

対策その3:「捕獲する」

農作物を食べに来たシカを罠を使って捕獲する。罠による捕獲は地域ぐるみで行わなければ効果がありません。また、罠による捕獲は鳥獣保護法・狩猟法などを遵守して適切に行う必要があります。

これらの法律は県または各市町村が管轄していますので、罠で捕獲する場合は必ず自治体の担当窓口に相談しましょう。

 

 

 

 

まとめ

知ってそうで知らないシカの世界についてまとめてみましたが、いかがでしたか?ちなみに、マメジカをシカだと思っている方も多いかもしれませんが、実はシカ科ではないそうです。

マメジカはマメジカ科の動物でシカとは意外と近くないらしく、これも意外な事実ですよね。ちょっと他の人にも話したくなるような事ばかりで、ぜひ明日誰かに話してみてくださいね。

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