フルーツバットとは主食が果物のコウモリの総称ですが、ペットとしてはエジプシャンルーセットオオコウモリ、デマレルーセットオオコウモリの二種類が主です。
食虫のコウモリと違ってキツネのような顔をしており、目が大きくつぶらです。コウモリというと不気味な印象を持たれる方も多いですが、フルーツバットは吸血もしないですし見た目も羽が生えたハムスターといった印象で、ペットとしても飼いやすい動物です。
フルーツバットの特徴とは?
出典:珍獣図鑑アルパカパカス
オーストラリアなどの亜熱帯に生息するので暖かい気候が最適です。適温は20度〜30度、湿度は高めが好ましいです。体長7センチ〜15センチ、体重は45グラム〜100グラムと小柄なコウモリです。
コロニーを作り数千匹で生活するので、1匹で飼うよりも数匹で飼育する方が向いており、ネットではオスとメスのペアでよく売られていますので繁殖も可能です。
野性下ではセンサーではなく目で果物や花を識別して食べるので、昼行性と言われています。主に果物を食べますが、花粉や花の蜜、多少の虫も食べるようです。
現在ではコウモリの輸入は禁止され、国内で繁殖された個体のみペットショップで購入出来ます。繁殖は2~4月と8~10月なので、その頃にペットショップを訪れると出会える確率が高いです。
フルーツバットの飼い方
飼育に必要なものと費用
生体は50,000円〜100,000円で購入出来ます。オオコウモリは運動量が多い動物です。ゲージから出して遊ばせることが出来ないのなら、動き回る広さが必要になります。
オウム用のゲージなど、高さのあるものを用意しましょう。約10,000円くらいです。他には寒さに弱いので、ペットヒーターが必要です。
爬虫類用として売られている昼夜兼用の赤外線保温球なら明る過ぎないので、昼行性といえども光が苦手なコウモリに向いています。約3,000円です。水は小動物用のボトル給水器が良いでしょう。餌入れと合わせて2,000円ほどです。
道具はこれだけなので非常にシンプルに飼育できますが、体の大きさに似合わず食べる量が多いので餌代は月に約10,000円覚悟しておいた方が良いでしょう。意外とお金がかかるペットです。
餌とお世話
朝と夜の2回に分けてバナナ、リンゴ、キウイ、マンゴー、ブドウ、ミカン、ライチなど、様々な種類の果物を主食として与えます。酸っぱい柑橘系は苦手なようです。
少し残すくらいの量を餌入れに入れておき、傷む前に下げておいてください。
個体によって好みはありますが、1つに偏らず、いろんな種類のものを与えることが健康維持の秘訣です。専用のフードはまだないので栄養バランスを補う為に、ローリーネクター、ゴートミルク、ピーポレンを補助的に与えましょう。
ローリーネクターは動物用粉ジュースです。ゴートミルクは動物用ヤギミルクでたんぱく質を補います。ピーポレンは花粉や花の蜜で、モモンガ用として売っているもので代用します。
基本的に餌に振りかけて食べさせますが、良く慣れているなら水に溶かしてスプーンなどで与えることも出来ます。掃除は毎日するようにして、清潔を心がけましょう。コウモリは沢山食べるので糞の量も匂いも相当なものです。
コウモリ自身もデリケートな小動物なので、衛生面に気をつけないと体調を崩してしまいます。基本的には手間がかからず飼いやすい動物ですが、餌切れ、栄養のバランス、温度管理、掃除を怠ると突然死しやすいようです。
かかりやすい病気と怪我
栄養バランスの偏りによって引き起こされる病気は尿路結石と肝疾患です。動物性たんぱく質や脂肪の過剰摂取が原因となります。また、小さい口のフルーツバットの為に小さく切って与える人が多いようですが、これは間違いです。
成長していれば齧り付く力が備わっているので、できるだけ大きめに切って歯芽疾患を防ぎましょう。
ゲージの隙間で手を骨折したり、脱臼する怪我が多いようです。フルーツバットの手は爪が鋭く伸びているので引っかかってしまうようですね。逆に個体が小さくてゲージに捕まりにくいパターンもあります。金網を張ったりして丁度いい間隔に調節してあげて下さい。
ゲージから出して遊ぶには
できれば1日一回はゲージから出して自由に遊ばせてあげたいものです。しかしコウモリの排泄物は多く、しつけもできないので掃除は覚悟しなければいけません。
観葉植物や電気コード、ストーブなど危険なものは避けて、床など掃除しやすい部屋を選んで下さい。多少は大丈夫な種類ですが、やはり明るすぎる環境は苦手なコウモリです。
カーテンを閉める、照明を落とすなどして薄暗くしてあげた方が快適に遊んでくれます。触れる時は軍手をはめて様子を見てください。
大きな物音に臆病な生き物なので、驚かせないようにそっと近づいてみてください。慣れてくると餌を近づけると寄って来たりしがみついてきたりする姿は、可愛いですよ。
繁殖する
出典:KINGWATER
ペアで飼育していれば、比較的容易に繁殖できます。妊娠周期は約15週で、一度に1匹、又は2匹の出産をします。母親が胸に抱いて子育てする様子は微笑ましいですよ。哺乳類なので逆さまに抱っこしたまま授乳します。
1年ちょっとで大人になりますが、生後2ヶ月で飛べるようになります。ベビーちゃんの期間はとても短いですね。万が一、母親の胸から落ちてしまったベビーちゃんを見つけたら、保護してください。
一度落としてしまうと残念ながらその後母親が育児をする事は絶望的なので、人工保育になりますが生存確率は低いです。
フルーツバットはコウモリのイメージが先行してまだマイナーなペットですが、餌を確保しやすい利点と可愛らしい外見がペット向きです。
愛情を持って毎日マメにお世話をし、可愛がって飼うとしっかり懐いてくれるでしょう。飛んでいるときに名前を呼ぶと曲がってこっちに来たりしてくれると飼い主冥利に尽きますね。