クリーナー生体として人気のある貝類。その中でも繁殖しやすさと美しさから人気を集めているラムズホーンはアクアリストにとってかなり身近な存在なのではないでしょうか。
いつもは水槽の脇役として活躍するラムズホーンですが、今回は主役として焦点を当てて飼育方法や特徴をご紹介していきたいと思います。
ラムズホーンとは?
出典:外虫魚図
インドや東南アジアの淡水域に広く生息するインドヒラマキガイを品種改良した巻き貝のことを指します。
柔らかい体を持っていることから細い水草に生えたコケや砂利の間に入り込んだ食べかすを掃除してくれることから古くよりクリーナー生体としてアクアリウム市場を盛り上げてきました。
本種は弱アルカリ性から弱酸性まで幅広い水質と広い水温に適応できる頑丈さから人気を集めていますが、繁殖スピードも凄まじく雌雄同体であるため2匹以上で飼育しているとあっという間にラムズホーンで埋め尽くされます。
生餌としても優秀なので大型魚や貝類を好む生体を飼育している場合は餌として利用することもできます。
ラムズホーンは突然変異個体を固定化させて様々なカラーバリエーションが作出されており、レッドラムズホーンを始めピンクラムズホーンやブルーラムズホーンなどが販売されています。
いずれも飼育のしやすさでは同程度といえますが、色鮮やかなラムズホーンの方が高値で取引されています。
販売価格
出典:エビと水草とキボーデコ
原種であるインドヒラマキガイは数十円程度で販売されているので単にクリーナー生体として欲しい場合は本種で問題ないでしょう。
鑑賞性を重視する方はレッドラムズホーンやピンクラムズホーンをお勧めしますが、販売価格は500~700円程度とやや高値で取引されています。
一度に多くお迎えしなくても2~3匹程度飼育していると1ヶ月程度で数十匹に増えるので沢山飼育したい場合でも多額の出費をする必要がありません。生命力が強いので瓶で飼育しても面白いでしょう。
ラムズホーンの飼い方
飼育環境
ラムズホーンはあらゆる水質に適応することができますが、繁殖させたい場合は弱アルカリ性の硬水で管理すると繁殖スピードを早めることができます。
水質悪化が進んでくるとラムズホーンたちは一斉に水面近くに上がってきますので、飼育環境を見直す目安にもなります。
底床は特に使用してはいけないものはなく、お好みで選んでいただいて構いません。
ただ極端にPHの低い環境では上手く活動することができないようなので、ソイルを敷いて流木をレイアウトした水槽で水質悪化が進むと落ちてしまうラムズホーンが見られるようになります。
混泳
出典:雑記 鴨
混泳水槽の場合、ベアタンクで飼育するよりもある程度底床を敷き詰めた環境の方が幼体の生存率が上がります。
一般的に生体1cmあたり1リットルと考えて飼育頭数を決めることが多いようですが、ラムズホーンは特に目安はなくやや過密気味でも水換えをすれば問題なく飼育することができます。
性格は温厚で生きている生体に食らいつくことはありませんが、アベニーパファーやクラウンローチなど貝類を好んで摂食する熱帯魚と混泳させると簡単に全滅してしまうので注意してください。
ピンクラムズホーンとブルーラムズホーンなど色合いが大きく異なるラムズホーンを同居させていると幼体がインドヒラマキガイのような地味な色合いになることが多いので注意が必要です。
ラムズホーンは劣悪な環境でも生存できるのでお迎えした時にラムズホーンの貝殻部分がコケまみれになっていることが多々あります。水槽に入れる前に軽く柔らかいスポンジなどでコケを落としてから入れるようにしましょう。
逆さまになって水面を流れるように移動することがありますが、死んでいるわけではありませんのでそのままにしておきましょう。
立ち上げて間もない頃や瓶飼育を始める際は餌となるコケが生えていない場合があるので、植物性の人工飼料を入れてあげるようにしてください。
麦飯石の力で水質を
出典:地球に優しいお掃除
ラムズホーンはミネラルが豊富な水を好むと言われることがあり、麦飯石を使用することで繁殖を促すことができると言われています。使用方法は麦飯石をネットに入れてフィルターに設置するだけです。
価格もワンコイン以下で入手しやすくすぐに効果が表れるでしょう。水質浄化作用もあるようなので是非導入してみてはいかがでしょうか。
飼育上の注意点
ラムズホーンは強靭な生命力を持っていますが、薬剤には弱いので混泳している魚が病気になり薬浴する際は別容器に移すようにしてください。
また水草飼育に使用される農薬にも弱いので必ず無農薬で栽培された水草を入れるようにしましょう。
ビオトープで飼育することもできますが、本来は温暖な地域に生息している種類なので冬季の低温に耐えられない個体もちらほら見受けられるようになります。
また代謝が下がりあまり大きく成長しなくなってしまうので、お店で販売しているような大きなラムズホーンに育てたい場合はある程度の水温を維持する必要があります。