コアラといえばそのモコモコした姿でおっとりした性格から世界中で大人気の動物ですよね。日本でも色々なキャラクターなどに使用されています。そして、オーストラリア=コアラといったイメージも。
しかし、その生態などについて知っている人は少ないのが現状です。日本でもコアラを見ることができる動物園の情報や生態について等をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
コアラの特徴
コアラは双前歯目(そうぜんしもく)コアラ科コアラ属で現存する唯一の種です。双前歯目にはコアラ以外ではカンガルーやウォンバットなどがいます。
コアラはオーストラリア東部の森林地帯やユーカリの林などに生息しており、川沿いや海岸地帯に近い肥沃な場所で、ユーカリ類に含まれるタンニンや油分が少ない場所を好む傾向があります。
体は灰色のモコモコとした毛で覆われており腹面が白色をしています。体長は約65cm~80cm、体重は約5kg~15kgで寿命は約13年~18年ほどです。
そしてコアラの手の平と足の裏にはザラザラとした指紋があり、手足には鋭く長い爪のある指が5本あります。そのため指の形状なども含め大きな枝なども掴んで歩く事ができるのです。
人間とコアラの関わり
6万年前からオーストラリアに住んでいた先住民はコアラを食べて生活をしていたものの上手く共存できていたようです。
しかし18世紀になり欧州からオーストラリアに移住してきた人たちがコアラの毛皮を取るためにコアラを狩るようになった事や、コアラの生息地である森林を開拓した事などからコアラの生息数に大きな影響を与えてしまったと言われています。
現在ではコアラが絶滅危惧種に指定されたことなどを含めオーストラリアでもコアラを保護する働きや様々な取り組みなどが行われています。
大きさ、生息地など
コアラは主にオーストラリアのクイーンズランド州南東部・ニューサウスウェールズ州東部・ビクトリア州・南オーストラリア州南東部に生息しています。
生息地によって大きさや体重などに違いがあるようです。
クイーンズランド州に生息しているコアラ
- オス:体長約67cm~73cm、体重約4kg~9kg
- メス:体長約64cm~72cm、体重は約4kg~7kg
オーストラリア南部に生息しているコアラ
- オス:体長約75cm~ 82cm、体重約10kg~15kg
- メス:体長約68cm~73cm、体重は約7kg~11kg
このように南部に生息しているコアラの方が体格も体重もやや大きいようです。
東部と南部に生息するコアラで大きさ以外には見た目の違いはほぼなく、灰色の毛で覆われお腹の毛は白色をしています。やや南部に生息するコアラの方が寒さに耐えられるようによりふさふさしているようです。
そしてオスには胸元に茶色の縦線が入っておりここから匂いを発しています。ここから出る匂いでなわばりなどを主張しているのです。オスとメスの違いを見分けるには、胸元を確認してみると良いでしょう。
生態について
意外と知られていないコアラの生態についてまとめてみました。コアラの睡眠時間や食事、母親のフンを食べる赤ちゃんの謎など、コアラの生態について驚くことがたくさんあったのです。
単独行動
コアラは基本的には単独で行動しています。しかし繁殖期になるとオスとメスが一緒に行動したり、育児中はメスが子供と一緒にいたりする事があります。
もし動物園などでオスとメスが一緒に行動をしていたら、繁殖期に入っていると考えていいでしょう。
生活は樹上
コアラは樹上で生活をしています。発達した手足で枝を掴むことができるため、食事も睡眠も基本的には全て樹上で行うのです。生活をするといっても樹上で巣を作ることもなく、稀に地上に降りてきたり木の上を飛び移ったりもします。
食事は有毒のユーカリの葉
コアラは草食性でアカシアやティーツリーの葉や芽を食べますが、有毒であるユーカリの葉をも好んで食べます。ユーカリの葉にはタンニンや油分が含まれており消化に悪く一般的には動物のエサには適しません。
ですがコアラは盲腸でユーカリの毒素を分解し消化吸収をすることができます。そのため天敵の少ないユーカリの木の近くやユーカリの木の樹上で生活をしているのです。
また、コアラの水分補給はユーカリの葉から行うため直接水を飲むことは極めて珍しく、火災などでユーカリの葉が焼けたり脱水症状などが起きた場合にごく稀に水を飲む姿が目撃されています。
起きている時間は1日数時間のみ
コアラは1日18時間~20時間もの長い間寝ています。これは主食であるユーカリの葉から摂れる栄養素がとても少なく、1日の活動を維持するだけのエネルギーが足りないためです。
そのため摂取したエネルギーよりも多くのエネルギーを消費してしまうと死んでしまう事があるそうです。これは「消耗病」と呼ばれ、なるべくエネルギーを消費しないようコアラは1日の大半を寝て過ごしているのです。
そしてコアラが最も活動的にはるのは早朝または夕方です。動物園などにコアラを見に行く場合はこういった時間帯を狙ってみると良いでしょう。
赤ちゃんは母親のフンを食べる
ユーカリの葉を食べた母親は盲腸内でユーカリを半消化状態にし、パップと呼ばれる離乳食を作ります。コアラの赤ちゃんは生後約22週を過ぎた頃からこのパップを母親の肛門から直接食べ、その後約6週間~8週間ほど続きます。
このパップを食べることによりユーカリの葉を消化するための微生物を消化器官に定着させ、生涯にわたり母親と同じ種類の葉を食べるようになるのです。
日本国内のコアラ
日本にコアラが初めてやってきたのは1984年10月25日で、東京都多摩動物公園・名古屋市東山動物園・鹿児島市平川動物公園の3箇所で同時飼育がスタートしました。
2017年現在で国内でコアラが見ることが出来る動物園はまだ8箇所しかありません。コアラが主食とするユーカリは日本では自生していないため、無農薬での栽培をしなければなりません。
そのためエサ代がとても高く1頭あたり約800万ものコストがかかるため、多くの動物園で維持が出来ないと判断され今でも日本でコアラの展示が少ないのです。
コアラの種類
オーストラリアの固有種であるコアラですが実は3種類存在します。「クイーンズランドコアラ」と「ビクトリアコアラ」と「ニューサウスウェールズコアラ」の3種類です。
クイーンズランドコアラ
オーストラリアのクイーンズランド州の熱帯雨林やユーカリ林などに生息する種類のコアラです。
オーストラリアでクイーンズランドコアラが見られる場所はコアラ保護区「ローンパイン・コアラサンクチュアリ」に行くと見ることができます。ここでは130頭以上のコアラが暮らしています。
ビクトリアコアラ
出典:生き物たちの不思議な生態
オーストラリアのビクトリア州と南オーストラリア州南東部のユーカリ林に生息する種類のコアラです。オーストラリアでビクトリアコアラが見られる場所は「メルボルン動物園」や「ヒールズビル自然動物園」などがあります。
ヒールズビル自然動物園ではオーストラリア固有の動物を200種以上も見ることができ、どちらの動物園も自然に近い環境で展示しています。
ニューサウスウェールズコアラ
出典:pepy
オーストラリアのニューサウスウェールズ州のユーカリ林に生息する種類のコアラです。オーストラリアでニューサウスウェールズコアラが見られる場所は「オーストラリアン・レプタイル・パーク」や「フェザーデール・ワイルドライフ・パーク」で見ることができます。
ニューサウスウェールズ州ではコアラの抱っこは禁止されているので、抱っこがしたい場合はクイーンズランド州の抱っこが出来る動物園に行ってください。
国内でコアラが見られる動物園は?
コアラは2017年現在で8箇所の動物園で飼育がされています。
埼玉県こども動物自然公園
埼玉県東松山市にある動物園です。コアラ・レッサーパンダ・ナマケモノなどの動物が飼育されています。
東京多摩動物公園
東京都日野市にある動物園です。コアラ・オオカミ・ユキヒョウ・コウノトリなどの動物が飼育されています。
横浜市立金沢動物園
横浜市金沢区にある動物園です。コアラ・インドゾウ・オカピ・シロテテナガザルなどの動物が飼育されています。
東山動物園
名古屋市東山にある動植物園です。コアラ・ゴリラ・ワニ・ペンギン・ホッキョクグマなどの動物が飼育されています。
天王寺動物園
大阪市天王寺にある動物園です。コアラ・マンドリル・ピューマ・ヒガシクロサイなどの動物が飼育されています。
神戸市立王子動物園
兵庫県神戸市灘区にある動物園です。コアラ・ワニ・マヌルネコ・ペンギン・アムールトラなどの動物が飼育されています。
淡路ファームパーク イングランドの丘
兵庫県南あわじ市にある動物や植物に触れ合うことの出来るパークです。コアラ(6頭)・コモンリスザル・ベネットアカクビワラビーなどの動物が飼育されています。
鹿児島市平川動物公園
鹿児島市平川にある動物園です。コアラ・ベンガルヤマネコ・ホワイトタイガー・エリマキキツネザルなどの動物が飼育されています。
国内ではこの8箇所の動物園などでコアラを見ることができます。動物園ではただ動物を見るのではなく、その動物たちの生態などを知ってから見るとより楽しくより詳しくなりそうですね。
まとめ
オーストラリアにコアラを見に行くためだけに旅行に行くという人も多く、多くの人に愛されるコアラですが、その一方で絶滅危惧種に指定されるなど保護を強化しなければならない面もあります。
コアラはストレスに弱く人に抱っこされるだけで弱ってしまう事も。そんなコアラを絶滅させないためにも、より多くの人にコアラについてもっと知ってもらえたら幸いです。ぜひ色々な動物園に足を運んで色々な動物を直接観察してみてくださいね。