日本原産種の淡水魚は食用として流通することが多いため、観賞魚としてイメージする方は少ないように思います。
もちろんカラフルな色合いや飼いやすさから海外から輸入してきた熱帯魚の方が優れていると考えることもできますが、四季のある日本ならではの魚の特徴も鑑賞性が優れている面があります。
また自国で採集できる魚は水質に適応しやすくお迎え時のトラブルが少ないといったメリットもあります。観賞魚としての人気が高いタモロコという淡水魚の飼育方法や特徴などを余す所なくご紹介していきたいと思います。
出典:Wikipedia
タモロコとは?
出典:魚類図鑑
全長10cm程度の銀色に輝く体色が美しい本州を中心に分布する淡水魚です。
上層で見られることが少ないため水面からはっきりと姿を捉えることは少ない種類ですが、側面から観察できるアクアリウムにとっては相性がいい魚と言えます。
生息地では群泳していることが多いので大きめの水槽に適度な流れを作って複数匹導入すると生息地で見られるような野生に近い姿を観察することもできます。
寿命
出典:Wikipedia
寄生虫や外傷、天敵などの都合により野生下での寿命は3年程度と言われていますが、飼育下だと5年以上生きることも多いようです。
水質悪化と高水温に注意しておくだけで多くのトラブルの予防になりますので、日頃のメンテナンスが長く飼育するためのコツとなります。
本来はやや温暖な地域に生息する種類でしたが、生命力がある程度強くアクアリウムに導入されることの多い種類であることから生息地以外の河川に放流されることが多く、現在では昔に比べて分布地域が拡大しています。
稀に溜池や水田に見られることもあるので注意して河川を観察していると発見することもあるかもしれません。
販売価格
出典:のほほんこいたろう・sp
生後1年前後の成熟前のタモロコが多くペット用として流通しており、1000~2000円程度で販売されることが多いようです。
生息数も多く簡単に採集できる淡水魚なのでそれほど高値で取引されることがないので、訪れたペットショップで高いと感じたら別のショップに行くか通販サイトを利用することをお勧めします。
ほとんどのショップでは雌雄を選ぶことができないので繁殖を目的とするなら出来る限り複数匹でお迎えすることをお勧めします。
タモロコの飼い方
出典:琉璃の魚篭
飼育環境
タモロコは積極的に泳ぎ回るような種類ではなく低層でゆっくりと過ごすことが多いので飼育頭数が少ない場合は45cm規格水槽でも終生飼育が可能です。
全長10cm前後にまで成長するため1匹あたり10リットル以上と計算して飼育頭数を決めるのも良いかもしれませんが、水槽が大きい場合はもう少し多く飼育しても問題はなく逆に少ない水量の水槽の場合は飼育頭数を抑えたほうが良いでしょう。
幅広い水質に適応することができるようですが、理想は弱アルカリ性の水質を好むようなので大磯砂や砂利を敷いて水質に影響を与えないカルキ抜きを使うようにします。
また水換えを怠ると水質が酸性に傾くことが多いので水換えは定期的に行うようにしてください。
餌の与え方
出典:魚類図鑑
本種の食性は肉食性なので乾燥アカムシや肉食性の熱帯魚用に販売されている人工飼料を与えると良いでしょう。
暖かい時期に食欲旺盛になるので冬場は2日に一度程度、夏場は1日2回程度与えるのがベストではないでしょうか。
一度に与える餌の量は3分程度で食べきる量が良いでしょう。多すぎると底に食べ残しが溜まって水質悪化の原因となるので注意しましょう。
本種はやや酸欠に弱い面があるのでエアレーションを接続するフィルターと外部や上部などの濾過能力の高いメインフィルターを併用すると調子良く飼育しやすくなります。
エアレーションのチューブは数週間程度するとカルシウムや水垢がこびりついてしまうので、定期的に汚れた箇所をカットするか新しいチューブに交換することをお勧めします。
本種は水草に産卵する習性があるので複数匹飼育している場合はアナカリスやマツモなどを入れておくと繁殖してくれるかもしれません。
マツモやアナカリスなどは非常に生命力が強く管理しやすい水草で有名ですが、時が経つと糸状のコケがこびりつくこともあるのでヤマトヌマエビやタニシなど植物食のクリーナー生体を混泳させておくと安心です。
人工水草はタモロコの体表が傷付いてしまうことも考えられるので出来る限り使用しないことをお勧めしますが、食べることもできる柔らかい商品もあるので導入する際は外傷の心配がないものを導入しましょう。
水換えはPHショックを防ぐためにも一度に3分の1程度の水量を交換するようにしてください。
よく一日バケツに水道水を入れておけばカルキが抜けると言われますが、エアレーションで水を動かすか直射日光に当てない限り一日ではカルキが抜けないので注意しましょう。
混泳の相性
出典:琉璃の魚篭
鑑賞性を向上させる上でも重要になってくる混泳ですが、本種は積極的に攻撃するような種類ではないので同程度のサイズの淡水魚や貝類と混泳させることが可能です。
ただあまりに体格差があるとストレスを感じたり小型魚がタモロコに捕食されるなどのトラブルが発生する可能性が高いので様子を見る必要があります。