その名の通り非常に長い手が特徴的なテナガエビ。観賞用としても販売されていますが、多くは食用として流通している種類です。
生命力が強く飼育しやすいことから初心者でも安心してお迎えできるシュリンプですが、管理には少しコツが必要です。テナガエビを飼育する際の注意点や特徴などを余す所なくご紹介していきたいと思います。
テナガエビとは?
出典:水辺の生き物彩々
熱帯や温帯域に広く生息するシュリンプの一種です。本種は決まった大きさに成長するわけではなく、数センチ程度から20cm近いものまでかなり個体差のある種類です。
特に大型個体は食用として流通していることも多く、様々な料理に使用されています。生息地は比較的穏やかな水流の下流域に多く見られることから飼育環境も水流を強くしないことが大切になります。
あまり水流が強く温度の低い水域では定着することが出来ず、すぐに落ちてしまうので注意が必要です。
またシュリンプは植物食のイメージが強いと思いますが、テナガエビに限っては肉食性なのでアカヒレやメダカなど弱った小魚は捕食されてしまいます。
非常に貪欲なので死骸やコケ類などお腹が空いていると何でも食い付くので餌に困ることは少ない種類と言えます。
寿命
出典:コトバンク
基本的に甲殻類は長く生きている個体ほど大型になります。そのため20cm近くにまで成長したテナガエビは3年以上生きている可能性が高いことになるでしょう。
決まった寿命はなく、飼育下では1年で落ちてしまう個体もいれば7年経っても生きている個体もいるようです。
稀に共食いをすることもあるので複数匹のテナガエビを同居させて最後に生き残った個体はかなり丈夫で長生きすることでしょう。
販売されているテナガエビは野外採集個体であることが大半なのでお迎えした時にどれくらい生きている個体なのか分かりませんが、なるべく長期間飼育したい場合は小柄なテナガエビを選ぶようにすることをお勧めします。
販売価格
出典:トリップアドバイザー
サイズにもよりますがLサイズにもなると希少価値が高くなるので1500円前後で販売されるようです。小柄な個体は一匹500円もしないことが多く、多くのショップで見かけることができます。
テナガエビと一口に言っても「オオテナガエビ」や「ミナミテナガエビ」などやや珍しいテナガエビも販売されているので、それらは若干高値で取引される傾向にあります。
通販サイトでも取り扱っているショップが多いので利用してみてはいかがでしょうか。
テナガエビの飼育方法
出典:蝦三昧
飼育環境
飼育水槽は飼育頭数や生体の大きさに大きく左右されますが、大体60cm規格水槽で管理すれば問題ないでしょう。少数飼育で良い場合は30cmキューブ水槽でも十分終生飼育が可能です。
基本的に水質悪化や飢餓には強いテナガエビですが、やや水温管理にはシビアになる必要があります。管理水温は20℃前後と低めに管理することが大切で、夏場の高水温に耐えることは難しい種類です。
逆に冬季はヒーターを使用しなくても屋内飼育なら問題なく管理することができます。
本種は大食漢で水を汚しやすいので定期的に水換えを行い、濾過能力の高いフィルターとエアレーションを接続するタイプの補助フィルターを併用して運用することをお勧めします。
酸欠に弱い面があるためエアレーションは極力稼働させるようにしてください。シュリンプは泳ぐ力が強く簡単に水面から飛び出してしまうのでなるべく隙間ができないようにフタをすることが長期飼育をする上で大切となります。
混泳には向いていないのでテナガエビのみで管理することになります。ただインドヒラマキガイやタニシなどの貝類とは上手く共存させることができるようなのでクリーナー生体として混泳させてもいいでしょう。
餌の与え方
出典:水産技術センター
給餌頻度は1~2日に一度程度で問題なく、あまり与えすぎると水質悪化により落ちてしまうので注意が必要です。餌は小魚などの生餌や肉食性の観賞魚に与える人工飼料を与えてください。
一般的なシュリンプ用のタブレットは植物性の人工飼料であることが多いので食いつきがあまり良くなく、食べ残しが目立つため控えたほうが良いかもしれません。
ショップから購入した個体は寄生虫が付いていることが少ないと思いますが、野外採集したテナガエビは水槽に導入する前に一度汽水でトリートメントしてから入れるようにしないと元から飼育しているテナガエビにまで寄生虫がついてしまう可能性があります。
繁殖について
本種は暖かい時期に繁殖する傾向にあり、幼体は海水域で生活をします。プランクトンや微生物を摂食して大きくなった幼体は川底を歩いて淡水域に定着する習性があります。
そのため飼育下で繁殖させることはかなり難しく、専門家が挑戦しても失敗に終わることが多いでしょう。似た習性をもつ生き物としてヤマトヌマエビも同じく繁殖が難しいシュリンプとして知られています。
ただ生息数が多いのでそれほど高値で取引されることはありませんので、繁殖させなくても負担になることはないでしょう。