食べて美味しい見て美しい伊勢海老。一般的には高級食材として扱われていますが、実はペットとしても人気のある動物です。
しかし、短期間維持するための生け簀に入った伊勢海老しか印象になく具体的な飼育方法についてはあまり良く知られていないのが実情です。伊勢海老をお迎えする前に知っておくべきことをまとめてご紹介したいと思います。
伊勢海老の特徴とは?
全長30cm前後の西太平洋やインド洋などの熱帯地域に広く生息している大型シュリンプの一種です。深い赤色のがっしりとした殻と太くて長い触覚は迫力満点で鑑賞性の高い容姿をしていることからマリンアクアリストたちはペットとしてお迎えすることも多いようです。
夜行性で昼間は岩陰に潜んで夜になると貝類や藻類などを探しに活動を開始します。互恵関係を築いて魚類と共生するシュリンプが多いのですが、本種はウツボと共生して外敵から身を守ることがあります。
繁殖に関してはあまり成功例がなく、個人宅で用意できる飼育環境下では非常に難しいのではないでしょうか。
販売価格
伊勢海老は約3000~7000円程度で流通しています。稀に海水生物を取り扱っているペットショップや通信販売サイトで入荷されることがありますが、食用の生きた伊勢海老をペットとして飼育することもできます。
その際は捕獲されて間もない個体をお迎えするようにしないと、水から上げられた個体は弱っていてすぐに落ちてしまう可能性が高くなります。
寿命
伊勢海老の寿命は約30年と言われています。しかし、甲殻類は脱皮時に死んでしまうことが多く上手く脱皮をし続ければそれ以上に生きる個体は沢山います。
同じ高級食材として流通しているロブスターは寿命がないことで話題となりましたが、伊勢海老に関しては寿命が存在します。飼育下においては2~3年ほど維持できればかなりいい結果と言えるのではないでしょうか。
伊勢海老のペットとしての飼い方
飼育環境
水槽は90cm規格以上のものを選び、なるべくオーバーフロー水槽で飼育しましょう。非常に大型の肉食性なので水が汚れやすくなるべく水量が多く濾過能力も高いもので飼育をする必要があるからです。
ヒーターは温度可変式で300w以上のものがオススメです。温度は22~25℃程度に保温して夏場は高温に注意しながら必要に応じてクーラーを導入します。
水槽内には伊勢海老が隠れられるようにライブロックを組むかシェルターを活用するといいでしょう。床材はアルカリ性に傾けるためにサンゴ砂を使用することが多いようです。
立ち上げて間もない頃は2~3週間に一度ほど水換えをする必要がありますが、水質が安定してきたら1~2ヶ月に一度程度に頻度を下げても良いと思います。
ただし磯の匂いや異臭がし始めたら様子を見ながら水換えを行ってください。魚や小型の甲殻類との混泳はあまりオススメしません。スペースに余裕がある場合は伊勢海老の複数飼育に挑戦してみても面白いでしょう。
餌の与え方と頻度
伊勢海老の食性は肉食よりの雑食で貝類や魚の切り身、海藻類などを食べています。飼育下では餌用に販売されている生きた貝類やサバの切り身などを与えると良いでしょう。
また釣りに使用されるオキアミも捕食するので与えてみてはいかがでしょうか。給餌頻度は3~4日に一度ぐらいで問題ありません。餌の与えすぎは水質悪化の原因となり思わぬトラブルとなります。
初期費用と維持費用
オーバーフロー水槽で立ち上げる場合の初期費用は約20~30万円と少し高額になってしまいます。維持費用は餌代や水道代、電気代などが必要となり月々約2000~4000円はかかるでしょう。
オーバーフロー水槽とは?
最も濾過能力の高い濾過方法の一つとされており、水槽の下に大きな濾過槽を設置して上の水槽へ汲み上げます。
汲み上げた水を排水するホースのみになるので鑑賞性も向上する一方で、水漏れや汚れを濾過槽に溜め込むので頻繁に掃除をしないと酸性に傾いてトラブルの原因となりがちです。
また、90cm規格以上の大型水槽となると10~20万円以上になるので初期費用は高く付いてしまいます。伊勢海老は30年以上生きると考えれば安い出費と思えるのではないでしょうか。
市販のオーバーフロー水槽セットではなくDIYに挑戦してみると価格をかなり抑えることができるでしょう。
飼育上で気を付けること
伊勢海老は定期的に脱皮をするので脱皮期間中は水換えをしたり触ったりしないようにしてください。脱皮した殻を食べることがありますがしばらく置いておいて残っているようなら回収します。
伊勢海老に限らず甲殻類は薬剤や銅製品に弱いので飼育水に混じらないように注意しましょう。大型シュリンプでも飛び出し事故は起こり得るので必ず水槽に蓋をしてその上に何か重りを置いておくと安心です。
海水の素はカルキ抜きが含まれていることがあるので、説明文を確認してからハイポを使うか決めてください。
まとめ
高級食材のイメージが強い伊勢海老ですが、それなりの飼育環境を整えさえすれば自宅でも十分に飼育することができます。小型のシュリンプやザリガニ飼育に物足りなさを感じた方は是非伊勢海老飼育に挑戦してみてはいかがでしょうか。