郷土料理に使われる個体や海のギャングとして不思議な生き物特集にテレビ出演する個体は地味な色合いをしていることから観賞魚として認識されることの少ないウツボ。
実は世界に数百種類のウツボが生息しておりカラフルな個体や変わった姿をした個体がたくさんいるため、観賞魚としてのポテンシャルは非常に高い魚です。日本国内で販売されている鑑賞性の高いウツボを数種類紹介していこうと思います。
ペットで飼育できるウツボの種類
クモウツボ
観賞用のウツボの中では最も安価に販売される種類の一つです。白を基調に黒い模様が規則正しく並んでいるのが特徴的なウツボです。
全長は50~60cm程度と小柄なウツボで太平洋やインド洋に広く分布しています。本種はサンゴ礁や岩の入り組んだ浅瀬に生息しているので、飼育する際はライブロックや石を複雑にレイアウトした隠れ家の多い水槽で管理します。
注意点としては夏場に水温が30℃以上になると落ちやすくなるのでクーラーの仕様が必須となります。また人工飼料に餌付くことは少ないので餌用の甲殻類や魚類を与える必要があります。
インディアンモレイ
こちらも白と黒の斑点模様が美しく2メートル以上にまで成長する大型のウツボです。稚魚の頃は真っ白の体色が印象的な種類ですが、成長するに従って斑点模様が細かくなり白い部分が若干色あせてしまいます。
非常に大型になるので飼育下では石やライブロックではなく重量の軽いパイプやシェルターを隠れ家に使用することをお勧めします。大型の岩やライブロックを水槽にレイアウトしてしまうと一点に加わる力が強すぎて傷つけたり水漏れの原因となる可能性があります。
注意点としては気性が荒く動くものに食らいつく習性があるので水槽メンテナンス時には十分に注意してください。また人工飼料には餌付きませんので中型の魚や甲殻類を与える必要があります。ウツボの仲間では最も人目を引く模様と言えるでしょう。
ブラックリボンイール
別名ハナヒゲウツボと呼ばれるように鼻管部が花びらのような形をしています。また下顎の先端も鼻管部に似た形状をしているのでウツボと言われないと何の種類なのか分かり辛いのではないでしょうか。
色合いとしては黒色に最も目立つと言われている黄色のラインが入っていることから一度目にすると忘れられないほどインパクトの強い容姿をしています。
大きさは最大でも120cmほどで身体が柔軟なことから90cm規格の水槽でも飼育することができます。本種は上記に挙げたウツボよりも人工飼料に餌付きやすいようですが、あまり期待をしないほうが良いでしょう。
ストレス耐性が低く水質悪化や人通りの多い場所に水槽を設置していると暴れて飛び出してしまうこともありますので注意が必要です。
複数飼育や混泳は基本的にできませんので大型水槽に一匹のみ導入しましょう。
ホワイトリボンイール
名前は似ていますがブラックリボンイールほど立派な花びら型の鼻管部を持っているわけではなく控えめな印象を持たれる方は多いのではないでしょうか。
しかし全身純白に包まれた体表と透き通った背ビレは高い品格を思わせる上品な容姿をもつウツボです。柔軟な身体を見事に屈曲させながら優雅に泳ぐ姿に心癒されること間違いありません。
大型魚の泳ぐ水槽をはじめ、水槽を眺める行為はストレス軽減に高い効果がありますのでストレス社会に生きる忙しい方にオススメの一種です。
スポッテッドモレイ
カリブ海原産の体長1メートル前後と比較的小柄なウツボです。他のウツボと比べて立派な背ビレを持っており細くて小柄な体格の割に迫力のある容姿をしています。
不規則に彩られた白色の斑点模様はどこか神秘的な印象を受けます。本種は身体がスリムなので小さな隙間からも飛び出してしまう可能性が高いので爬虫類飼育に使用される網蓋を使用することをお勧めします。
ウツボの中でも特に気性が荒いのでメンテナンスの際は噛まれないように細心の注意を払いましょう。
ヘリゴイシウツボ
今回ご紹介するウツボの中では比較的地味な色合いをした本種ですが、70cm前後と非常に小柄で飼育しやすい種類です。
基本的に他のウツボと飼育方法に違いはありませんが、60cm規格水槽からでも飼育ができることから初心者の方や日本の住宅事情に嬉しいサイズをしています。
小柄なため摂食量も少なく生餌を管理する水槽もコンパクトになるので維持費用も安く済む所が魅力的です。
モバウツボ
本種はヘリゴイシウツボよりもさらに小柄なウツボです。国内にも生息していることから馴染み深いウツボではないでしょうか。
大型種と比べて危険性も少なくカサゴなどの大型魚との混泳も十分なスペースを確保できれば挑戦することもできるようです。ただし見た目は鑑賞性に優れているわけでもなく地味な色合いをしているので一度実物を確認してからお迎えすることをお勧めします。
まとめ
日本で飼育できるウツボたちはいかがでしたか?ウツボの仲間は大きく成長するためちょっとした水族館のような環境を準備する必要はありますが、寿命が20年以上と長いのでそれだけ飼育を楽しむことができます。
ぜひ海水魚を取り扱っているショップに足を運んでお迎えを検討してみてはいかがでしょうか。ウツボの飼い方や飼育環境、餌の与え方、混泳などについては「ウツボの飼育方法、餌の与え方」で確認ください。